補足頼清徳新政権の発足を来週に控え,中国は強硬姿勢 中国政府の台湾政策担当省庁にあたる国台弁が,台湾のテレビ評論家5名に対し「制裁」を課すと発表した。対象は,黃世聰,于北辰,劉寶傑,李正皓,王義川の5名およびその家族。 制裁の理由は,「大陸の発展を無視し,意図的に大陸のマイナスイメージをテレビ,ネットなどで伝播させ,両岸の敵対を煽り,両岸同胞の感情を傷つけたから」とされている。 制裁の内容はまだ明らかになっていないが,これまでの事例からすると,中国大陸・香港・マカオへの入境禁止,同域内でのビジネスの禁止になりそうだ。効果はあまりなく,制裁対象となった人物からは「名誉なことだ」というコメントも出た。 これで台湾の世論に影響を与えるかは疑問だ。むしろ,頼政権の発足を来週に控えたタイミングでの発表が興味深い。中国としては,頼氏がどんな演説をするか聞く必要もないという態度を示す意図がありそうだ。
コメンテータープロフィール
専門は台湾政治,台湾総統選挙,中台関係。東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授を経て同大名誉教授。著書に『台湾総統選挙』(晃洋書房),共著に『蔡英文再選―2020年台湾総統選挙と第2期蔡政権の課題』(IDE-JETROアジア経済研究所)など。2020年に「アジア・太平洋賞」特別賞および「樫山純三賞」学術書賞を受賞。
小笠原欣幸の最近のコメント
台湾からの輸入製品134品目 関税優遇措置を停止 中国
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