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錦田愛子

錦田愛子

認証済み

慶應義塾大学法学部教授

報告

日本政府はウクライナ危機と国際的な対ロシア制裁の動きを受けて、特別な措置として今回避難民の受け入れを決めた。政府専用機に直接搭乗を認めるという異例の待遇だったが、20人という少なさは支援への熱意に対して拍子抜けにも感じられただろう。その背景には、ウクライナ人にとって日本が地理的に遠く、文化的なじみが薄いことの他に、紛争を逃れる人々はまずは近隣諸国に逃れるという移動パターンや、日本の移民/難民受け入れ経験の浅さも指摘される。長期化する恐れのある移住の場合、避難民は移動した先で仕事や住居を探し、自立した定住が可能かどうかを考えてから移動する。その際に、政府主導の長期的な受け入れへ体制が整えられていない国は、魅力的な選択肢とならないのが実情だろう。日本が多数の難民受け入れ国ではないことは意外に知られている。日本語教育や保健医療、就業機会の提供など、具体的な支援策を今後は検討しておく必要がある。

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  • 白鳥浩

    法政大学大学院教授/現代政治分析

    身寄りがない4名の方が日本を避難先として選択されたことを思うと胸が痛くなる。どういった思いで日本を選…続きを読む

コメンテータープロフィール

専門はパレスチナ/イスラエルを中心とした中東地域研究、移民/難民研究。東京大学法学部卒業、同法学政治学研究科修士課程修了、総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了、博士(文学)。早稲田大学イスラーム地域研究機構研究助手、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授等を経て、現職。ベイルート・アメリカン大学客員研究員、ヘブライ大学トルーマン研究所客員研究員、ロンドン大学東洋・アフリカ研究学院客員研究員などを歴任。単著に『ディアスポラのパレスチナ人―「故郷(ワタン)」とナショナル・アイデンティティ』、編著に『政治主体としての移民/難民――人の移動が織り成す社会とシィティズンシップ』など。

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