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村野将

村野将

認証済み

米ハドソン研究所研究員

報告

ロシアの戦術核(を搭載できる短距離弾道ミサイルや巡航ミサイル)は、リトアニアとポーランドの間にある飛び地・カリーニングラードにすでに配備されていると見られているので、軍事的合理性はほぼありません。しかし、ベラルーシへの配備にはエスカレーション管理戦略上の合理性があります。 もしロシアがウクライナ・西側に対して核の警告発射を試みたり、実際に限定的な核攻撃を加えることを考えた場合、それらをベラルーシから発射すれば、米国が反撃する矛先は策源地のベラルーシに向くことになるでしょう。すると、ロシアは本国やカリーニングラードへの核反撃を一旦回避できると考えているのかもしれません。 実際、2016年にオバマ政権の現役政府高官が参加して行ったシミュレーションでは、ロシアの限定核使用に対して、ベラルーシに限定的な核反撃を行うというオプションが選択されたことがあります。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 鶴岡路人

    慶應義塾大学総合政策学部准教授

    ベラルーシへのロシアの核兵器配備は、実際に行われれば新たな展開だが、計画自体は以前から言及されてきた…続きを読む

コメンテータープロフィール

岡崎研究所や官公庁で戦略情報分析・政策立案業務に従事したのち、2019年より現職。マクマスター元国家安全保障担当大統領補佐官らと共に、日米防衛協力に関する政策研究プロジェクトを担当。専門は、日米の安全保障政策、核・ミサイル防衛政策、抑止論など。 【近著】 -ブラッド・ロバーツ(監訳・解説)「正しい核戦略とは何か」(勁草書房、2022年) -峯村健司他(共著)「ウクライナ戦争と米中対立 帝国主義に逆襲される世界」(幻冬舎新書、2022年) -森本敏、高橋杉雄他(共著)「新たなミサイル軍拡競争と日本の防衛」(並木書房、 2020年9月)

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