見解中露は日本の処理水を「核汚染水」呼ばわりしているが、その安全性と海洋放出の妥当性はすでにIAEA(国際原子力機関)が認めており、国際社会は支持を表明している。 安全性と海洋放出の妥当性が疑われるのはむしろ中国のほうだ。中国の原子力発電所は日本が放出する計画の最大9倍の放射性物質トリチウムをすでに海洋放出している。これは中国の公式資料で明らかになったことだ。 中国は日本の水産物の安全性を問題にして禁輸措置をとっているが、実際には日本より中国の水産物のほうが安全性に問題があるわけで、中国政府が消費者保護の名目で貿易制限的な措置をとる意味は全くない。 中国の禁輸措置は日本に対する経済的威圧であり、世界貿易機関(WTO)が禁止する「不当又は差別的な措置」に該当する可能性が高い。年間1000億円近くの不利益を被る日本は中国との決定的な対立に発展しても、WTOへの提訴を行うべきではないか。
コメンテータープロフィール
1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。
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