エムポックス(サル痘)について
エムポックス(サル痘)とは?
サル痘ウイルス感染による急性発疹などを主な症状とするウイルス感染症で、感染症法では現在4類感染症(おもに動物を介してヒトに感染する感染症が該当)に指定されています。1970年にアフリカのザイール(現在のコンゴ民主共和国)で初めて報告され、西アフリカや中央アフリカで地域的に発生してきている感染症でした。ウイルスにはいくつかの株・系統が知られており、重症化率や致死率などが異なります。
症状
サル痘ウイルスに曝露(ばくろ)してから発症するまでの潜伏期間は通常7~14日間とされています。潜伏期のあと、発熱、頭痛、リンパ節の腫れなどの症状が5日程度続き、発熱1~3日後に発疹が出現します。これまで流行してきたものでは2~4週間で自然に回復する例が多いとされています。小児や妊婦、免疫不全者で重症となる場合があります。
感染経路
ヒトからヒトへの感染経路は、感染者の皮膚病変などとの濃厚接触、感染者からの飛沫(ひまつ)感染などが主体とされ、感染者が使用した寝具などを介する感染の可能性も考えられています。2022年春過ぎから広がっている感染においては、同性間での性交渉があった若年男性に発症者が多く、感染ルートは主に性的接触によるものと考えられています。女性の感染も報告され始めています。
エムポックス(サル痘)予防・ワクチンについて
治療・予防方法
現状、治療は対症療法のみです。予防には天然痘ワクチンが有効とされており、WHOや主要諸外国ではエムポックス(サル痘)への適用が承認されている国もあります。日本においても、天然痘ワクチンのエムポックスへの適用拡大が厚生労働省によって承認されることとなり、接触リスクの高い人への接種を可能にした、と伝えています。
天然痘ワクチン(痘瘡ワクチン・種痘)とは?
かつて世界中で多くの感染者・死者を出していた天然痘(または痘瘡、「天然痘ウイルス」による感染症)を予防するためのワクチンです。18世紀末イギリス人医師ジェンナーによって開発されたものが原型で、種痘(しゅとう)と呼ばれました。天然痘ウイルスに似たウイルスから作製する生ワクチンで、接種が成功すれば効果は長く続くと言われています。日本では江戸時代末期から取り入られ、明治以降国をあげて定期接種が始まりました。1956年以降日本では天然痘が報告されておらず、1976年を最後に定期接種は国内で終了しました。エムポックス(サル痘)は天然痘ウイルス類似のウイルスによって起こるため、天然痘ワクチンが有効である可能性が高く、感染・重症化予防効果を目的に日本でも適用を拡大して使用することとなりました。
エムポックス(サル痘)予防に使われる天然痘ワクチン
エムポックス(サル痘)の感染・重症化予防を目的として、天然痘ワクチン LC16「KMB」の適用がエムポックスにも拡大されることとなりました。
世界的な流行状況
世界の感染状況
世界保健機関(WHO)が英国での感染を確認した2022年5月以降、欧米を中心とする国々からエムポックスの感染報告が続いています。アフリカで地域的に発生していた従来の流行と比べると、前例のない規模で流行が急速に拡大しています。
世界感染状況
エムポックス(サル痘)と他感染症との比較
エムポックス(サル痘)/新型コロナウイルス/季節性インフルエンザの比較
出典元・関連情報
これまでのサル痘報道発表資料をまとめています。
制作
当ページのコンテンツは専門家の監修・協力のもと制作しています。 (画像制作:Yahoo! JAPAN)