Professional2019.04.18

Yahoo!ニュース トピックスにも不可欠 ヤフーが届ける「天気・災害」サービスとは

1日に約5000本の記事が配信されるYahoo!ニュースでは、毎日約100本をYahoo!ニュース トピックスとして掲出。その中には台風や大雨など「天気」に関する話題も多く含まれています。これらは命に関わる情報もあるため、いち早く届けられる体制づくりが心がけられています。

Yahoo!ニュース トピックス編集部が天気のニュースを届ける際、有益な情報源として活用しているのが、同じヤフー内にある「Yahoo!天気・災害」サービス。天気予報から地震などの災害情報まで、あらゆる天候の情報を扱う同サービスは、どのようなチームに支えられ、どんな思いで日々更新されているのでしょうか。チームの拠点である大阪オフィスにて、話を伺いました。

取材・文/万谷絵美
編集/ノオト

こだわるのは、情報の伝わりやすさ

「Yahoo!天気・災害」チームが担当するサービスは3つ。WEBサイトの「Yahoo!天気・災害」、スマートフォンアプリの「Yahoo!天気」「Yahoo!防災速報」です。全てチーム一体となって開発を進めています。

Web版「Yahoo!天気・災害」のトップページ

現在、約30人が在籍し、メンバーの大半がエンジニアです。1996年のサービス開始時は東京に開発拠点がありましたが、2011年の東日本大震災をきっかけに人員を分散させる必要性を感じ、大阪へ移転。現在、東京や名古屋に担当者はいるものの、ほとんどのメンバーは大阪オフィスで顔を合わせて仕事をしています。

気象に特化したチームながらエンジニアが多いのは、天気の予想は社内でしていないから。日本には民間の気象会社が50〜60ほどあり、それぞれが独自に天気を予想してデータを出しています。その中で予報の当たりやすさや表現のわかりやすさを考慮し、2018年11月からは株式会社ウェザーマップのデータを採用しています。そのデータを、WEBサイトやアプリを通じて分かりやすくユーザーに届けるのが「Yahoo!天気・災害」チームの業務です。

にこやかに「Yahoo!天気・災害」サービスの業務について教えてくれたのはサービスマネージャーの田中真司さん。

「多くの方がヤフーにいる人間が天気を予想していると思われているので、『(天気予報が)当たった』『当たらない』とご意見を一番沢山いただきます。しかし、私たちの役割は予報ではなく、気象庁や気象会社さんから送られてきた情報を、ユーザーによりわかりやすい形で届けること。デザインに工夫を凝らしたり、ヤフーのほかのサービスと組み合わせたりして、気持ちよく使えるサービスになるようにしています」

気象予報士でもある田中さんは、もともと民間の気象会社に所属。その頃は、天気図を書いて天気予報をする側だったそうです。その後、一般財団法人気象業務支援センターにて民間の気象会社へのデータ配信業務を経験。その後、「このままだと気象のことしかわからなくなるから全く違う業界に転職してみよう」と思ったのをきっかけに、2008年ヤフーへ入社し、現在の業務を担当しています。

最も選ばれる天気アプリへ

「Yahoo!天気」アプリの合計ダウンロード数は約3000万。アプリの1日あたりの平均利用者数も右肩上がりで伸び、2014年には100万人程度だったのに対し、猛暑日が続いた2018年夏には1000万人以上と10倍に。スマートフォンの初期設定で入っている天気予報アプリよりも使われており、天気ジャンルでは「いちばん選ばれているアプリ」になりました。

現在、特に重きを置いているのは、そのアプリの開発。背景には、WEBサイトよりもアプリがよく使われるようになったことや、現在地情報などを活用してよりユーザーに合わせた情報を伝えられること、そして防災情報は即時に届けるためアプリのプッシュ通知機能を活用したいなどの理由があるといいます。

開発では、誰でも使えるようシンプルでオーソドックスであることに気をつけているのだとか。幅広い層に支持されているアプリだからこそ、誰でも迷いなく使えるのが重要です。サービスを改良するためとはいえ、いきなり見た目を大きく変えるとユーザーを戸惑わせてしまうかもしれない。そのため、手を加えるときは少しずつ行うなどの配慮も。

また、天気や災害情報は、大雨や地震などの緊急時にアクセスが集中するため、1秒間に何万というアクセスが集まるピーク時でも絶対に落ちないサーバー運用も心がけています。

「『Yahoo!天気』の中でもっとも支持を受けている機能が雨雲レーダーです。しかし、雲の動きだけならヤフー以外の気象情報サイトにも載っています。それでも『Yahoo!天気』を継続して見ていただけるのは、よりわかりやすく、使い勝手よく提供することにこだわっているからなのかな、と思います」

「雨雲レーダー」が搭載されたスマートフォンアプリの「Yahoo!天気」

田中さんたちの考える使い勝手の良さは、その日の天候によるユーザーの行動とも関係しています。

「雨が降れば傘をさすため、スマートフォンは片手で持つことが多いですよね。そこで片方の親指だけでも押しやすい画面の中央下部に雨雲レーダーに移動するボタンを設置するなどの配慮をしています。天気予報の正確さも大切ですが、探している情報がすぐ見つかる、誰にでも使いやすいアプリであることに力を注いでいます」

晴れやくもりといった天気マークも気象庁が出しているものだけでなく、さらに20種類ほどをウェザーマップ社と共同で追加。実際の空模様に近い天気マークを表示させ、直感的に天気を感じ取れるようにしているそう。

例えば「晴れ」を示す天気アイコンもその一つ。気象庁の観測の定義では、空の8割が雲に覆われるまでが「晴れ」です。しかし、空が半分ほど雲に覆われれば「くもり」と感じる人もいますし、「くもり」といっても雲の色はさまざま。そこで、3種類の「晴れ」の天気アイコンを用意し、より雨が降りやすいと予想される日は濃いグレーの雲にするなど、見せ方を工夫しています。

天気マークにこだわる理由は、「より分かりやすく」、そして「天気予報が当たった」とユーザーに感じてもらいたいからです。

(左)雲の色の濃淡で雨の降りやすさを表現(右)雷を伴う予想であれば、マークにもその旨が記されている

そのほか、Yahoo!ニュースへ配信された気象に関連ニュースを天気アプリで読めるようにしたり、マップと連動させたりなど、コンテンツ連動も必要に応じて行っています。

「わかりやすさとは、毎日の素朴な疑問に丁寧に答えること。天気予報を当てたり、違和感のない使い勝手などを積み重ねたりしていくのが信頼になります。大雨や地震、津波などの災害時に頼ってもらえるサービスになると考えています。私たちは災害時のために、天気予報で毎日必要になる情報を届けながら、ユーザーの日々の生活を見守っています」

「Yahoo!防災速報」で、あらゆる災害情報を適切に届け、ユーザーを守りたい

「Yahoo!防災速報」は気象庁が出す緊急地震速報やさまざまな警報のほか、各自治体が発信する避難所開設のお知らせなどのあらゆる防災に関する情報を届けています。

発災時には、国が推進している「Lアラート(災害情報共有システム)」と、危機管理情報「レスキューナウ」を通じて、自治体が出している避難勧告や避難指示の情報も配信。

自分で自治体を登録し、その地域の情報を受け取ることができる「Yahoo!防災速報」

避難情報以外にも「自治体からの緊急情報」でさまざまな自治体からの防災情報が届くのは、ヤフーが独自に開発したツールを自治体に提供しているからです。これは、「Yahoo!防災速報」のユーザー数などの実績が自治体に評価されたから。緊急時の限られた時間内でできる限り多くの人に情報を届けたい自治体側にも、「Yahoo!防災速報」にメリットがあるため、現在の協力関係が生まれたそう。

また、プッシュ通知機能をオンにした地域情報を登録しておけば、全国どこにいても、緊急時に防災情報の通知が届きます。

ちなみに、防災情報を扱っていても、チームは24時間体制などのシフト制ではありません。その代わり、緊急時でもメンバー全員が自宅で仕事ができる環境を整えています。例えば、2018年は台風21号が強い勢力を保ったまま関西に上陸しましたが、そのときは全員が自宅から作業を行いました。今後は大規模停電が発生する場合なども考慮し、大阪以外でも継続して対応ができるように拠点を整備していく予定です。

「発災して身に危険が迫ったとき、避難など実際の行動に移してもらうのが私たちの最終的な使命です。『ヤフーが避難しろといっているから避難しよう』、『ここから逃げなきゃいけない』と思ってもらえるような存在になれればと。そのために、身に危険が迫っていることをひと目でわかりやすく伝える表現など、もっと研究すべきこともあります。例えば、防災情報のプッシュ通知。伝えたい内容は沢山あるのですが、できる限り端的な表現を心がけ、長くしすぎないように気をつけています。これからも一人でも多くの命を救えたらとの思いで、改善を続けていきたいです」

年々自然災害が大型化し、大雨も多くなってきている日本。アプリ開発やニュース配信を通じて、必要な情報をヤフーはこれからも提供し続けます。

お問い合わせ先

このブログに関するお問い合わせについてはこちらへお願いいたします。