Inside2019.03.05

13年で質問数8000以上ーー意見を可視化しアーカイブ、Yahoo!ニュースの意識調査とは?

写真/アフロ

Yahoo!ニュースで取り上げているさまざまなテーマに対して質問を設定し、ユーザーの意見を募る意識調査「みんなの意見」

米朝会談に関するものや、コンビニの24時間営業の是非などの時事的なニュースへの意見から、「2019年のJ1優勝チームは?」といったスポーツに関する話題、「きのこの山とたけのこの里、あなたはどちら派?」というゆるネタまで、硬軟織り交ぜたさまざまなテーマへの問いかけを行っています。

タイムリーな話題に関して、他のユーザーがどう考えているのかを可視化し、ときには結果がニュースやSNSを通して話題になることも。

2006年に始まった意識調査「みんなの意見」は、これまでに8000以上の質問が用意され、現在もすべての結果をネット上で公開し続けています。そんな意識調査「みんなの意見」は、一体どのような目的で作られたものなのでしょうか? これまでに行われた印象的な設問を紹介しながら、その舞台裏に迫りましょう。

取材・文/友清 哲
編集/ノオト

ユーザーの意見をアンケートで可視化

そもそも、意識調査「みんなの意見」の開設の狙いは何だったのでしょうか?

「2006年当時、何かYahoo!ニュースならではの特色を打ち出せないかと、オリジナリティーを求める動きが編集部内に生まれたのがきっかけでした。そこで、Yahoo!ニュースのユーザーがそれぞれのテーマに対してどう考えているか、意見を集めて結果を見せるだけでも面白いのではないかという着想に至りました」

そう語るのは、Yahoo!ニュース トピックス編集部歴最長の竹野雅人さん。2006年当時はまだコメント機能すらない時代。意識調査「みんなの意見」は、Yahoo!ニュースにとって初めてのユーザー参加型の機能として生まれました。報道機関が実施する統計に基づく世論調査ではなく、あくまでもユーザーの意見をきくものです。

「ニュース記事を読んでいるとよく、『物議を醸している』とか『賛否が割れている』といった表現が使われていますが、実際にどのような意見があるのか、ちまたの声に触れられる機会はほとんどありません。それなら、まずはこちらで選択肢を設定し、クリック操作だけで意見を投稿できる簡易な仕様にすれば、誰もが気軽に参加できるプラットフォームになるだろうと考えたんです」(竹野さん)

意識調査「みんなの意見」はアップデートを重ね、結果に対してFacebookのコメントが付けられるなど、少しずつ進化を遂げてきました。Yahoo!ニュース トピックスでも、よりグラフが見やすくなっています。

政治からゆるネタまで、時事性の高い話題をテーマに設定

意識調査「みんなの意見」にユーザーが楽しく参加できるポイントの1つは、政治やスポーツのほか、「ゆるネタ」と題したジャンルを設けていることでしょう。

例えば、「きのこの山」「たけのこの里」どちらが好きか――? 10年前に行われた、そんなたわいのないアンケート結果はネット上で大きな話題を集めました。

2009年の調査では、寄せられた2万6207票のうち、65.6%の支持を集めた「たけのこの里」に軍配が上がります。しかし結果が出てからも、ネットユーザーからは異論や賛同、いろんな声が噴出し、異様ともいえる盛り上がりを見せます。

ついに“再戦”が実現したのは2016年。今度は前回の倍に迫る4万9995票もの投稿が集まり、「たけのこの里」が連覇を達成。ただし、支持率は54.6%にとどまり、「きのこの山」派の強い思い入れを感じさせました。このように、異なる時期のネット上の意見を比べることもできます。

また、最近の例では、「ルフィの仲間の像、あなたの街に建てるとしたら?」という設問が印象的。

こちらは人気コミック『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎さんが熊本県の出身であることから、県内の被災地に同作品のキャラクター8体の像を分配するというニュースに端を発しています。県が31市町村から希望のキャラを募ったところ、最も多かったのがニコ・ロビンであったと伝えられると、ネット上では「いや、ルフィだろう」「チョッパーのほうがかわいい」など議論が白熱。そこで意識調査「みんなの意見」によって、Yahoo!ユーザーの民意を問うた、というわけです。

「意識調査『みんなの意見』の主な目的は、各トピックに関する世間の動きや温度感を知ってもらうことが1つ。さらに、結果やコメントを見ることで、新しい考え方にふれる機会とすること。そして、実際に投票する機会があることで、その問題について振り返り、自分の考えを整理するきっかけになれば、といった思いが込められています。だからこそ難しく考えず、誰もがどのようなテーマにも気楽に参加できることに意義があると思っています」(竹野さん)

例えば、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題。沖縄県外在住のユーザーにとっては意見を表明する機会は決して多くはありません。2月24日に実施された沖縄での県民投票までに、投票できない県外の人はどのような意見になるのか、可視化しました。こうした投票の機会をつくることで、沖縄が置かれている状況、それに対する賛否の声を知るきっかけにしてほしいという思いがあります。

調査を依頼されることも

では、こうした設問作成や運営は、どのように行われているのでしょうか?

「質問を考えるのはYahoo!ニュース トピックス編集部のメンバーで、とくに意識調査の専任スタッフがいるわけではありません。それぞれが日々のニュースを読みながら、『これはユーザーの皆さんにとって関心が高いのではないか』と感じたものをピックアップし、設問と選択肢を考えて公開します。とくに月に何本といったルールもないので、ふさわしいテーマがあった時に柔軟に対応しています」

また、基本的にはYahoo!ニューストピックにひもづけたテーマが設定されますが、なかには「冬のボーナス増えたのは3割」(2006年)、「夏のボーナス、どうだった?」(2010年)なども。日本経済のリアルな実態を知る、興味深い設問と言えます。

「これまでに、合わせて8161の設問がありますが(※2019年2月28日現在)、こうして結果を蓄積してアーカイブにすることにも意味があると思っています。過去のニュースに対して、当時はどのような意見が多数派だったのか、それに対して現在の状況はどうかを確認することで、ニュースに対する違った視点が生まれるかもしれません」(竹野さん)

また、時には省庁や企業、テレビ番組から設問の提供を受けて実施する調査もあります。

「たとえばオリンピックに向けた新国立競技場について、内閣府から依頼を受けて実施した調査もいくつかあります。『新国立競技場、コスト抑制のために何をすべき?』、『新国立競技場、魅力あるスタジアムにするためには何が必要?』といったものがそれです。ただし、あくまでこれらは宣伝目的の調査ではなく、民意を測るツールとして声がかかったもの。費用のやりとりは一切しておらず、そのテーマにYahoo!ニュースとして協力できる問いであることを前提に、設問として公開しています」(竹野さん)

これも多くのユーザーを擁するYahoo!ニュースならではの取り組み。今後も気になる話題に関する世間の声を知るツールとして、ぜひご注目ください。

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