Information2015.03.23

Yahoo!ニュースが考える、広告とコンテンツの「結婚」とは?

 このたびYahoo!ニュースでは、ニュース記事を配信しているメディア企業のニュースサイトに導入を進めている「Yahoo!コンテンツディスカバリー」で、オウンドメディアや編集記事などのコンテンツを出稿できる掲載枠の提供を開始しました(詳しくはこちら)。

 今回、プレスリリースではご説明しきれなかった取り組みの背景や、Yahoo!ニュースが考えるコンテンツと広告の未来について、責任者らが語ります。

――そもそも、コンテンツディスカバリーってどんなサービス?

宇都宮正騎・Yahoo!コンテンツディスカバリー責任者 興味関心や記事との関連性、ソーシャルメディアでの話題性など、さまざまな要素を組み合わせたアルゴリズムによるレコメンドエンジンを使って、記事ページの下に、最適な形でユーザーにおすすめのコンテンツを掲出するというサービスです。それぞれに期待される効果ですが、まずユーザーの皆様にとっては、「意識していなかったけど欲しかった」というような記事と出会えるということ。また、記事下のおすすめ枠をご提供いただくメディアの皆様にとっては、自身のサイトでの回遊性向上と新しいマネタイズ法によって媒体価値を高めていただくということ。そして出稿主の皆様にとっては、コンテンツをエンゲージメントの強いユーザーに届ける機会が増える、といったことがあげられます。

――コンテンツディスカバリーをはじめて、メディア企業の反応は

宇都宮 メディア企業の皆様の活用例としては、「出稿の受け入れによって得た売上を、自社の記事をネットワークに出稿する新規ユーザー獲得の予算に充てる」「ユーザーの興味関心がいかに様々かがわかるようになったので、編集の知見として取り入れている」といった声をいただいています。そのほか、自社サイト内で展開している記事の広告プランにプラスしてYahoo!コンテンツディスカバリーへの出稿を活用されている例などを聞いております。

――今回、オウンドメディアなどを出稿できる掲載枠の提供を開始した狙いは

宇都宮 この取り組みをきっかけに、ヤフーとしてはメディア企業のパートナーの皆様と関係性を高めていきたいと考えています。クライアントに対しては、記事に対して潜在的に興味のあるユーザーに幅広くリーチが出来る、潜在顧客の出会いにつながる、といったメリットを提供したいと考えています。

神本侑季・Yahoo!コンテンツディスカバリー アカウントマネージャー 先日、ヤフーとコンテンツディスカバリーのレコメンド技術の面で業務提携しているTaboola社のタイ・バンコクの拠点で、運用やビジネスフローなどのノウハウを学んできたのですが、タイって、日本と似ているんです。なぜかというとインドなどアジアではインターネットの世界は英語なんですけど、タイはタイ語なんですね。日本のインターネットも日本語で、世界的にみるとクローズドなマーケットなんですけど、そこがタイと似ている。今回の取り組みも「コンテンツマーケティング」という言葉がカギになってくるのですが、既存の広告ではリーチできなかった部分をコンテンツマーケティングで獲得していこう、という動きが世界的に広がっているなと感じています。

――コンテンツマーケティングは、世界的にみて日本は遅れているほう?

宇都宮 捉え方は色々あるので一概にはいえないのですが、「コンテンツマーケティング」という言葉自体の認識は遅れているかもしれないが、タイアップ広告や記事広告のような手法は海外と比べても日本は昔からありました。海外ではそういったものはなかったところもあって、いまどんどん伸びていっていますね。

神本 アルゴリズムを組んで記事下に掲出する、というのは昔はなかった手法。

宇都宮 そうですね、それを国内でどう浸透させるか、という段階に来ていると思います。

――Yahoo!ニュースがやることの意味は?


宇都宮 Yahoo!ニュースは月間100億PVのニュースサイトです。多くのユーザーにご利用いただいています。そこで質の高いコンテンツマーケティングを実践し、それを業界内のスタンダードにしていきたい、という大きな目標を持っています。Yahoo!コンテンツディスカバリー上に出稿主がお金をだして流れているコンテンツは、お金を出しているという点ではネイティブ広告の一種。でもコンテンツがマストの広告なんですね。だから、コンテンツと広告が二人三脚でないとうまくいかない。コンテンツに寄りすぎていては企業は何もPR出来ないし、一方で、広告に寄りすぎるとユーザーの体験を損ねてしまう可能性もはらんでいる。そのバランスをとるのが難しい。

神本 広告も、ユーザーを裏切る広告なら、ユーザーは離れていってしまいます。先ほど宇都宮が「二人三脚」といいましたが、どちらかに愛情がかたよってもいけない。コンテンツと広告が「結婚」して、助け合って生活をまわしていくイメージに近いかもしれません。

宇都宮 ナンパ師ではなくて(笑)、ユーザーに対して誠実な広告、というイメージでしょうか。お付き合いからはじめて、相互理解を深めていく広告。

――なるほど、お見合い結婚のようなイメージでしょうか。


神本 恋愛や結婚に例えると、初対面で無理やり誘ってくるのではなく(笑)、ユーザーと向き合って理解を深めてくれるような広告、のイメージに近いかもしれませんね。

宇都宮 広告業界の視点からみると、広告はすごく効果を求められる分野ではありますが、テクノロジーが進化していて、顧客にエンゲージしてから購入に至るまでの距離は非常に近くなっている。一方、その前段階はまだまだポテンシャルがある状態だと思っています。そこで今後力を発揮してくるのが、コンテンツマーケティングの手法だと考えています。

神本 そういったバランスの取れた質の高いものをユーザーにご提供するために、Yahoo!ニュース・トピックス編集の監修のもとガイドラインを設けて、質の担保をはかっていきたいと思っています。読み手をガッカリさせない、質の高い情報を地道に提供するための努力を続けることが、コンテンツマーケティング市場の長期的な成長につながると考えています。ためになった、と感じてもらえる体験をユーザーにお届けできるように、こちらも今後さまざまな取り組みを行っていく予定です。

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