八尋伸

「母親に、死んでほしい…」介護者の葛藤

2016/7/2(土) 11:59 配信

「友人に電話で『母に死んでもらいたい』と泣きながら話をした」「死んでくれたら楽になると思い、枕を母の顔に押し付けたことがある」――。アンケート用紙には、家族の介護を担う人たちの切実な声が記されていた。NHKは2010年以降に家族の間で起きた殺人や傷害致死、心中などの事件を調べ、「介護が関係していた」事件が138件あったことがわかった。なぜ「介護殺人」は相次ぐのか。背景を探るため、いま介護を担う人たちの声を聞いた。
(取材・文=NHKスペシャル“介護殺人”取材班/編集=Yahoo!ニュース編集部)

「母親は認知症になってから問題行動が出るようになりました。不潔になる、ものを取ってきてしまう、暴言を吐く、約束を守らない・・・。一般的には、寝たきりとか、歩行が難しい人の身体的な介護をイメージするかもしれませんが、僕の介護は、母親の引き起こしたトラブルの後始末がほとんどです」

埼玉県の39歳男性はため息をつく。77歳の母親は認知症になってから、トイレを流さなくなった。用を足し続け、何回分かをまとめて流そうとして、詰まってしまうのだ。

「トイレを一式全て交換しなくてはならない。20万かかるんです」

男性は埼玉県内の進学校を卒業し、都内の国立大学に進学。卒業後は、大手生命保険会社に就職し、親と同居しながら通勤していた。

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