苅部太郎

薄れゆく故郷──5年後の「つなみ」の子どもたち

2016/3/10(木) 16:41 配信

 あの日から5年。東北沿岸ではこの5年の日々を静かに顧みる人が少なくないだろう。

 そんな人たちの中には──当然ながら──、子どももいる。

 筆者はあの年の4~5月に岩手と宮城の避難所を、翌2012年に福島・双葉郡の仮設住宅をまわり、現地の子どもたちに自分たちの体験を作文として綴ってもらった。

 『つなみ 被災地の子どもの作文集 完全版』としてまとめられた作文には、黒い津波がわが町をなぎ倒す様子や寒さに震えるなか校舎の一角や山中で避難したこと、自衛隊などによって支援された過酷な日々が記され、読む人の心を強く揺さぶった。同作文集は19万部のヒットとなり、国内では教材や展示会、朗読会などで多数利用されたほか、海外でも学術書や朗読会などさまざま伝えられた。ある福島の子の作文は世界有数の博物館、大英博物館の姉妹施設であるイギリス自然史博物館でも常設展で飾られている。

 そして2016年。

 あの時の子どもたちは「災後の日々」をどう生きたのか。それを知りたいと思い、ふたたび作文を依頼した。すると、ちょうど半数、57人の子どもが作文を寄せてくれた。そこには、子どもならではの学校での日々も記されていたが、同時に、地域の再興を巡る話やこれからの自分の生き方についても語られていた。

 その中から、より詳しい話を聞きに宮城と福島の2つの家族を訪れてみることにした。どちらも故郷を忘れていく話が背景にあったためだ。
 (ジャーナリスト・森健/Yahoo!ニュース編集部)

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