【京都市上京区】煎茶道の家元が入洛 北野天満宮の傍にオープンした庵で「お煎茶体験」をしてきました!
一般財団法人煎茶道東阿部流京都支部の大垣翠敬さんが2023年4月15日(土)、煎茶道の魅力を知ってもらうための「煎茶体験」を開催しました。北野天満宮そばにオープンした体験教室「雅翠庵」の記念イベントとして行われ、土居雪松五世家元、土居雪鳳家元嗣も入洛されました。筆者自身の体験レポを紹介します!
まずは、京都支部の大垣翠敬さんによる「盆点前」の披露。土居雪鳳家元嗣は半東として、土居雪松家元は席主として話されました。静かに流れるような所作に身が引き締まるような思いがします。
次に参加者が自らお茶を淹れる体験に移ります。まず茶入から茶合に入れた玉露の茶葉を急須に入れ、その上から小さく可愛らしい煎茶椀に取り分けておいた白湯を注ぎます。そして掌で急須を20回ほど回し、再度煎茶椀に注ぎ分けます。
客人(受ける側)は茶托を縦にして左手のひらに乗せ、左回しで180度回転させていただきます。最初の一口は味、次に香り、その次に色を楽しみます。何杯か飲み進めるうちに、うま味をより感じられるようになります。上七軒の老松の美味しい和菓子も、玉露に合うものを厳選して出されていました。
小さな煎茶椀や茶托、急須、茶合、茶入れなどの雅な茶器も魅力です。一般的には華やかな京焼きが用いられるのだとか。土居雪松家元によると、「煎茶道は、侘びさびを追求する茶の湯(抹茶)とはまた違う、開放的で自由な趣がある」と言います。
参加者の1人、フランスから宇治に移住して10年になるというエルザさんは、宇治茶を扱う会社での経験を活かし、現在はフリーランスとして海外に向けてお茶の魅力を発信しています。茶の湯の経験があるエルザさんですが、「今回の煎茶体験を通じて、また新たに華やかな魅力を感じることができました。お茶の魅力をさらに世界に発信したい」と話されていました。
江戸時代の初期、中国僧の隠元禅師により煎茶を含めた様々な中国の文化が伝えられ、日本の暮らしは大きく変化しました。その頃の茶道は粉末茶を用いる「茶の湯」が主流で大名や将軍などの権力者のみが楽しめ、庶民は簡単に手が出せないものでした。そこで当時の文化人達は新たに、自然の中で煎茶を飲み交わしながら中国の詩や書画を楽しむ「喫茶趣味」を生み出したのです。これが煎茶道の始まりとされています。
煎茶道は、東山に通仙亭を開き、茶道具を担い、京の大通りに喫茶席を設けた黄檗宗の僧「売茶翁」が祖とされています。東阿部流はお茶を通じて知識や教養を深め、文人墨客の心を理解する事を目的とし、和を根本とする「感謝」「奉仕」「反省」「互護」を流是とし明治末期に設立されました。現在は五世土居雪松家元を中心に、全国の教授者が煎茶文化の研究、発展、伝承に取り組んでいます。
ぜひお気軽にお煎茶体験してみませんか!
東阿部流公式サイト(外部リンク)
煎茶体験教室「雅翠庵」(外部リンク)京都市上京区鳥居前町 668番12 044-542-662