どこが一番きれい?コンビニの写真プリントを比較検証した結果【セブン・ローソン・ファミマ】
皆さんは写真を印刷したいときにどこを利用していますか?写真の専門店に依頼する人もいれば、自宅のプリンターで印刷している人もいるかもしれません。
しかし、身近に写真屋さんがなく、自宅にもプリンターがないご家庭もあると思います。そういった方におすすめなのは「コンビニプリント」です。
コンビニには「マルチコピー機」という多機能なプリンターがあって、そこで写真プリントも可能です。短時間で一枚から写真用の紙にきれいに印刷してくれます。日本全国さまざまな場所にあって手軽に利用できるので、多くの人におすすめしたいプリント方法のひとつです。
今回はそんなコンビニプリントを実際に使ってみて、どれくらいきれいに写真を印刷できるのかを確かめてみました。写真の印刷品質について詳しく評価しているので、ぜひ参考にしてください。
コンビニ写真プリントの品質比較
大手コンビニ3社のセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートに足を運び、筆者が過去に撮影した写真2種類を印刷しました。コンビニによってそれぞれ提供する写真プリントのサービスが異なるのですが、比較のためにすべてL判サイズの写真プリントで統一しています。
L判写真1枚の印刷にかかる費用はセブンイレブンが40円、ローソンとファミリーマートが30円です。
下の画像が実際にコンビニでプリントした写真です。
写真の印刷品質の評価は、主観的な判断になってしまうものですが、できるだけ説得力のある検証にするために、プロのデザイナーで11年以上にわたり商業印刷に携わってきた専門家(筆者の妻)にも協力してもらいました。
筆者もフォトグラファーとして日ごろから様々な写真印刷を試してきた経験があるので、それをもとにコンビニプリントの品質の評価を行いました。本記事の検証はふたりで協力して出した結論になります。
それぞれの印刷の評価は後ほど詳しく書きますが、最初に結論から言うと、大手コンビニ3社のなかでセブンイレブンの写真プリントが最も高品質でした。
コンビニの写真プリントの印刷品質ランキング
1位 セブンイレブン
2位 ローソン
3位 ファミリーマート
総評としては、いずれのコンビニプリントの品質も十分に実用的な水準です。ただし、その中でもセブンイレブンの印刷は他2社と大きな差をつけて明らかにきれいな印刷でした。それぞれの印刷について詳しく見ていきましょう。
ファミリーマート
まずはファミリーマートの写真プリントです。
印刷の良し悪しの評価として気にしたいポイントのひとつに「色の幅」があります。プリンターによって表現できる色の数が決まっていて、どのような写真データに対してもプリンターはその幅のなかで色を表現します。上質な写真用プリンターは色の幅が広く、写真のもつ色を適切に表現することができます。
ファミリーマートの印刷について、この色の幅に関して注目してみましょう。基本的にはきれいに印刷できているのですが、全体的にすこし色あせていて、特に黄色が強く出ていることがわかります。チューリップの花のピンクも、葉っぱの緑もすべてが黄色に偏っています。
せっかくチューリップの鮮やかなピンクや、さわやかな緑色の葉っぱが美しい写真なのにその色を十分に表現できていません。ほかの印刷と比べても、ファミリーマートの写真プリントは表現できる色の幅が狭いと感じられたので第3位としました。
東京タワーの写真も同様です。ファミリーマートのプリントは全体的にやや黄色に寄っている発色となりました。またタワーの鉄骨や窓の部分の線などがほかの印刷と比べて少しぼやけたような印象になっています。
ローソン
次にローソンの写真プリントです。
ローソンの写真プリントは先ほどのファミリーマートのプリントと比べると、色の偏りが少なく、より適切に花のピンクや葉の緑を表現できています。印刷できる色の幅が相対的に広い印象です。
ふたつの印刷を並べると分かりやすいですが、ファミリーマートの印刷のほうが全体的に黄色いです。
空の青も、東京タワーの赤も、やはりローソンの方がファミリーマートのプリントよりもそれぞれの色を適切に印刷できています。以上のことからローソンの写真プリントは第2位としました。
ただし、ローソンの写真プリントについては印刷ムラがあるようで、どちらのプリントにも本来の画像データには入っていないはずの細い線を確認しました。
筆者が試したお店のマルチコピー機がたまたま整備ができていなかっただけかもしれませんが、はっきりと分かる線で明らかな印刷ミスなのでこれは残念でした。この点を加味するとローソンとファミリーマートの品質の優劣はあまりないと思います。
セブンイレブン
最後にセブンイレブンの写真プリントについてです。
セブンイレブンのプリントは他2社と比べて、明らかに印刷で表現できる色の幅が広いです。チューリップの花のピンクも葉の緑も適切に表現できています。
印刷用紙にのっているインクの量が多いのか、あるいは用紙の品質が良いのか、色がとても濃く出ている印象です。影の部分の黒色もしっかり出ていて、黒をより黒として表現できています。
東京タワーの写真を見ても、不自然な色被りが見られず美しい発色です。きちんとコントラストが出ていて気持ちの良い印刷だと感じました。
ファミリーマートやローソンのプリントと比較するとセブンイレブンの印刷がいかに高品質かが一目瞭然です。表現できる色の幅が広くて、メリハリのある印刷に仕上がっています。
セブンイレブンの印刷は花びらのなかの線がよりはっきり見えたり、茎の部分のケバケバしたところなど細かい質感もよく見えます。これは色の幅が広く、かつ色が濃いからこそ、微細なところまできちんと表現できているのだと思います。
東京タワーの写真を比較しても発色の傾向は同様です。特にファミリーマートは全体的に色が黄みがかっていているのに対して、セブンイレブンの印刷は空の青もタワーの赤も鮮やかです。
より拡大して見ると細かい描写にも差があります。タワーの鉄骨や窓の部分の線などに着目すると、セブンイレブンはより鮮明でくっきりしています。対してファミリーマートの印刷はややぼやけてハッキリしない印象です。
セブンイレブンはほかの2社と比べて写真の印刷に力を入れている様子が随所に見られました。例えば、印刷用紙を見てみると、セブンイレブンのプリントには富士フイルムの印刷用紙が用いられています。
ファミリーマートやローソンのプリント用紙にはこのようなブランドの記載はありませんでした。
セブンイレブンはコピー機も富士フイルムビジネスイノベーション(元:富士ゼロックス)製で、印刷に関しては富士フイルムグループのサービスを採用しています。
またコピー機の横には、写真を持ち帰るための袋を用意するなど、写真印刷サービスを積極的に利用してもらおうという姿勢が見えます。
いち写真の愛好家としては、もしコンビニプリントをするのであれば、ぜひセブンイレブンで印刷してほしいと思いました。特に大切な写真を飾りたいときや、人に写真をプレゼントする際には、写真プリントの品質が優れているセブンイレブンのサービスをおすすめします。
今回の印刷比較における留意点・限界
コンビニの写真プリントに関する品質の比較検証を行いましたが、今回はあくまで2種類の写真を用意して、それぞれのコンビニで1回ずつ印刷を試したに過ぎません。写真の内容や、印刷の回数・タイミングによっては、また違った結果が出るかもしれません。
今回の検証では、それぞれのコンビニに置いているプリンターの個体差については調べることができていません。クリーニングのタイミングがどの程度の頻度で行われていて、いつ行われたかも分かりません。利用したプリンターの調子がたまたま良かったり悪かったりした可能性もあるので、かならずしも今回の結果を一般化することはできません。
価格については、L判写真1枚あたりセブンイレブンが40円、ローソンとファミリーマートが30円です。この中ではセブンイレブンが最もコストがかかっています。低価格の二社のほうが印刷の品質が劣るのは、コストの観点から言えば妥当な結果とも言えるでしょう。
またマルチコピー機の使い勝手という観点では、三社ともよくできているサービスだと思います。スマホからデータを転送したり、SDカードやUSBメモリのデータを読み込んだりできるなど、様々なメディアに対応しています。印刷できる内容も多岐にわたっていて、今回試したL判以外のサイズの写真やシールの印刷も可能です。
ちなみにローソンとファミリーマートはシャープのマルチコピー機を採用していて、印刷のために使うスマホアプリも共通しています。同じ操作系統になるので、インターフェイスになじみやすく使いやすく感じる人も多いと思います。
各社とも魅力的な印刷サービスを提供しているので、ぜひコンビニ写真プリントを試してみてください。
参考(コンビニ各社のマルチコピー機サービスのリンク):