他の行動とともにテレビを見ている人は28.0%
物事に集中している時には他の行動には手をつけられないのが普通だが、それほど注力が必要でない場合には、他の行動も同時に行うことがある。これを「ながら行動」と呼んでいる。日常生活の中で人々はどのような「ながら行動」をしているのだろうか。その実情を総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用いて確認する。
次に示すのは何らかの目的のためにある行動をしている時(主行動)、一緒に・並行して行っている「ながら行動」(同時行動)の割合。例えばテレビは28.0%とあるので、全体で28.0%の人が何かの行動をした時に、テレビを見ながらしたと回答している。この値が高い行動ほど、他の行動に併せて行われていることが多い、「ながら行動」の対象となりやすいことを意味する。
もっとも「ながら行動」の対象となりやすいのはコンピュータの使用で32.4%。これはパソコンだけでなくスマートフォンや従来型携帯電話、タブレット型端末などを用いたインターネットの使用も含まれている。実質的にはほとんどがスマートフォンの使用だろう。次いでテレビ(の観賞)で28.0%。さらに衣類などの手入れ、新聞・雑誌(の閲読)、ビデオ・DVD(の鑑賞)、ゲームなどが続く。「ながら行動」としてはテレビとともにイメージされやすいラジオはグラフ外、2.1%となっている。
それでは見方を変えて、テレビを「ながら行動」の対象とする主行動にはどのようなものがあるのだろうか。
トップは夕食。夕食をする人のうち16.9%がテレビを見ながらの行動となる。次いで朝食が11.5%、昼食が8.7%。昼食が低めなのは、平日ではテレビを見る機会が減るからだろう。続いて食事の管理(食事の用意や後片付け)、身の回りの用事が続く。食事をする際にはテレビとともにとのライフスタイルの人が多いようだ。
他方、恐らくはスマートフォンの操作をしながらであろうコンピュータの使用では昼食がトップとなっている。
夕食や朝食ではなく昼食がトップなのは、自宅でない場所、具体的には学校や職場などでの食事のため、家族の目を気にすることなく使えるからだと考えられる。続いて夕食が6.6%、朝食が5.8%、通勤が5.4%。
テレビを見ながらスマートフォンを操作して情報の確認をしたりチャットでリアルタイムにやり取りをする情景が想像できるテレビとの回答は4.0%。全体でテレビ観賞をメインとしてコンピューターの使用をしている人は25人に1人となる。ちなみにグラフ化は略するが、逆にコンピューターの使用を主行動として、同時行動にテレビを挙げている人は1.1%。やはりテレビを見るのがメインとする人の方が多いようだ。
「ながら行動」の対象としてはこれまではテレビが主役的な存在だったが、スマートフォンの登場によりその利便性の高さから多くの人の「ながら行動」の対象として使われるようになりつつある。主行動を妨げる、能率を下げるような状況に陥らないように気をつけつつ、上手に使いこなしていきたいものである。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。