Yahoo!ニュース

米ゴルフ界は男子に続き、今度は女子が大揺れ!?米LPGA会長が突然辞任、一体「なぜ」? #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

米ゴルフ界は、男子のPGAツアーがリブゴルフとの関連で揺れ続けているが、今度は女子のLPGAでも大揺れが始まっている。

米LPGAを率いてきたモリー・マクー・サマーン会長が12月2日、突然の辞意を表明した。

サマーン会長は、2021年5月に、前任のマイク・ワン会長が電撃的に辞意を表明し、USGA会長に就任した際、ワン会長に続く9人目のLPGAコミッショナーに選出された。

任期は5年の契約ゆえ、本来なら2026年の夏までLPGA会長の椅子に座るはずだった。しかし、就任からわずか3年半、任期半ばでの辞任を自ら発表した。

女性の会長としては、サマーン会長は初代のキャロリン・ビーベンス会長に続く2人目だった。ビーベンス会長は2009年に選手たちから追い出される形で退任したのだが、サマーン会長は、なぜ任期半ばで辞任したのか。

2021年の就任以来、サマーン会長は米LPGAの賞金アップに尽力し、成果を上げてきた。今季のメジャー大会の賞金は2021年の2倍以上になり、2024年の賞金総額1億2500万ドルは、2021年と比べ、80%以上の上昇となった。最終戦のCMEグループ・ツアー選手権の優勝賞金は、女子スポーツ界では最大級の400万ドル。

米LPGAがこれほど潤ったのは、史上初のことだった。

2025年の試合数も、今季と変わらず33試合を維持。賞金総額は、今季よりさらにアップする見込みだった。

これほどの実績と功績を上げてきたのに、なぜ突然の辞任劇が起こったのか。

サマーン会長は辞任の理由として、「子どもたちや家族と過ごす時間を大切にしたい」といったことを声明の中に記しているが、それは表向きの建前だと考えられる。

米ゴルフウィークによると、サマーン会長の優柔不断な姿勢や対応の遅さが、選手やスポンサー、関係者によって指摘され、批判の声が上がっていたという。

同誌によると、サマーン会長は、近年、米LPGAにおいて取り沙汰されていた「ジェンダーに関する方針」やサウジアラビアのゴルフ振興団体との交渉といった重要で繊細な問題に対しては「判断も対応も、あまりにもスローだ」と指摘されていたとのこと。

さらには、世界ランキング1位のネリー・コルダは今季も奮闘していたものの、「コルダ以外の米国人のビッグスターを育てることや輩出することがなかなかできない」「だから、さらなるスポンサー獲得につながらない」などとも指摘され、サマーン会長のリーダーシップを問う厳しい声が多数上がっていたという。

サマーン会長が対処しきれなかったさまざまな難題を解決し、賞金や試合数をさらに増やしていける新たな会長候補を早急に見つけ、就任させることはできるのか。

米ゴルフ界は、男子も女子も、しばらくは大揺れが続きそうな気配だ。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

舩越園子のゴルフここだけの話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週2回程度(不定期)

米国ゴルフ取材歴20年超の在米ゴルフジャーナリストならではの見方や意見、解説や感想、既存のメディアでは書かないことがら、書けないことがら、記事化には満たない事象の小さな芽も含めて、舩越園子がランダムに発信するブログ的、随筆風コラム。ときにはゴルフ界にとどまらず、アメリカの何かについて発信することもある柔軟性とエクスクルーシブ性に富む新形態の発信です。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

舩越園子の最近の記事