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豪腕・西山朋佳女流三冠、後手番で得意の三間飛車採用 棋士編入試験第1局、高橋佑二郎四段との対戦始まる

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月10日10時。東京・将棋会館において棋士編入試験五番勝負第1局▲高橋佑二郎四段(25歳)-△西山朋佳女流三冠(29歳)戦が始まりました。

 対局開始前の振り駒の結果、「歩」が4枚、「と」が1枚で、第1局は西山女流三冠が後手となりました。

 西山女流三冠は得意の三間飛車に振り、美濃囲いと石田流の駒組を進めています。西山女流三冠の攻めの銀が中段に進んだあと、41手目、高橋四段が5筋の歩を突いた局面で12時、昼食休憩に入りました。形勢は互角です。持ち時間各3時間(ストップウォッチ形式)のうち、残りは高橋2時間5分、西山2時間11分。通例では、夕方頃に終局となります。

五番勝負の先後、すべて決定

 棋士編入試験が制度化されて以来、五番勝負がおこなわれるのは今回で5回目となります。

 偶然ながら、第1局はすべて受験者が後手となっています。

 将棋界の番勝負では公平を期するため、第1局の前に振り駒をして先後を決め、以後は先後が交替して進んでいきます。最終局に至ると、そこでまた改めて振り駒をするのが一般的です。

 しかしこの棋士編入試験は例外的に、最終局の振り駒はおこなわれません。

 本局はABEMAで中継され、小山怜央四段が解説を担当しています。小山現四段は前回の棋士編入試験の合格者です。

 その小山四段は、棋士編入試験の途中まで、第5局で振り駒がおこなわれないことを知らなかったそうです。

小山「この振り駒はちょっと特殊だなと思うんですけど。第1局で先後が決まって。先後は交互っていうことらしいんですよね。なので、第5局まで行った場合は、西山さん、後手になっちゃうんですよね。普通のタイトル戦って振り直すじゃないですか。なので、ここで決まっちゃうという。でも、第5局振り直すのと、どっちがいいんですかね。準備の大変さもあるんですけど。私も実は後手番を引いて、1局目で。でも私は途中まで気づかなかったんですよ。5局目までいったら振り駒だと思ってて。第3局ぐらいまで行ったときに、高田四段(当時)に指摘されて。『第5局になったら僕が先手ですよね』って言うんで。『そんなわけないじゃん』って言って。調べたら本当に。なのでちょっと、私みたいにちゃんと確認していないと、ちょっと痛い目に遭うので。でも西山さんはちゃんと確認されてたようなので」

 棋士編入試験五番勝負ではこれまで、第5局がおこなわれたことはありません。今回はどうなるでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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