「捕虜になった北朝鮮兵」家族はこうして殺される
韓国の情報機関・国家情報院は13日、1万人から1万2000人と推定されるロシアに派兵された北朝鮮の兵士のうち、300人が死亡、2700人が負傷したとの見方を国会情報委員会に報告した。
報国によれば、ウクライナ軍に包囲されたある兵士は、「金正恩将軍!」と叫んで手榴弾を取り出し自ら命を絶とうとして射殺されたという。国情院はまた、戦死者の持っていたメモには、自決を強要するような内容が含まれていたとしている。
北朝鮮兵が捕虜となるより死を選ぶのは、「家族に危害を加えられるのを恐れている」ことが理由のひとつだと見られている。
たしかに、北朝鮮は外交官を海外に派遣する際にも、子どもを国内に残させて亡命を食い止める「人質」としており、派兵軍人らに対しても同様の態度で臨んでいる可能性は高い。
もっとも北朝鮮当局は、国外に逃れた脱北者の家族を、無条件で処罰しているわけではない。なぜなら、すでにあまりに多くの人々が脱北しているために、その親類縁者を片っ端から管理所(政治犯収容所)に送り込んでいては、中朝国境地帯の街から人影が消えてしまいかねないからだ。
では、捕虜となった軍人の家族に対してはどうだろうか。もし、北朝鮮当局が家族に何もせず放置し、そのことを前線の兵士たちが知ったならば、自決よりは捕虜となることを選ぶ兵士は増えるかもしれない。それを考えるなら、北朝鮮当局は捕虜となった兵士の家族に、何らかの不利益を与える可能性のほうが高い。
(参考記事:「泣き叫ぶ妻子に村中が…」北朝鮮で最も"残酷な夜")
ただ、それが死と直結するような厳罰となるかどうかは未知数だ。捕虜となった兵士が祖国への帰還を選んだ際には、彼を英雄として処遇する余地も残しておかねばならない。
一方、捕虜となった兵士が韓国への亡命を選択した場合には、その家族に対して苛烈な処罰が加えられる可能性が一気に高まる。韓国への亡命は国家への反逆と見なされる可能性が高く、家族に対しても連座制が適用されるかもしれない。
北朝鮮当局としては、本来ならば、「ロシアへ派兵した軍人が捕虜となり、敵に寝返った」などということを、国内で大々的に宣伝したくはないだろう。そのため、軍人の家族は深夜に音もなく連れ去られ、収容所送りにされるかもしれない。そうなると、生きて出てくるのは絶望的だ。
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
ただ、そのようなやり方だと、残された家族がどんな酷い目に遭うかが前線の兵士によく伝わらず、亡命の抑止効果が限定される。そのため敢えて、公開処刑が行われる可能性もある。
しかし現時点では、北朝鮮が捕虜となった兵士の家族をどのように処遇するかについて明らかになった事実は何もなく、すべての見方は憶測にすぎないことを断っておく。