直木賞『宝島』 実写映画化、妻夫木聡・広瀬すず・窪田正孝・永山瑛太ら出演 監督は『るろ剣』の大友啓史
「第160回直木賞」(2019年1月発表)に審査委員から満場一致で選ばれ、さらに「第9回山田風太郎賞」、「第5回沖縄書店大賞」の3冠に輝いた真藤順丈による小説『宝島』が実写映画化されることが発表された。主演は妻夫木聡。広瀬すず、窪田正孝・永山瑛太ら出演も明らかになった。監督は、大友啓史(『るろうに剣心シリーズ』、『レジェンド&バタフライ』)が務める。映画は東映とソニー・ピクチャーズによる共同配給のもと、2025年に拡大公開される。 【動画】映画化決定特報 米軍統治下(1952年~72年)の沖縄を舞台に、混沌とした時代を全力で駆け抜けた“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちの姿を、圧倒的熱量と壮大なスケールで描く。原作者の真藤は7年間という期間をかけ、「この小説で世界を変えるつもりで書いた」と語る超大作。 大友監督は、NHKに在籍中、沖縄県を主要な舞台とした連続テレビ小説『ちゅらさん』(2001年)を担当した経験もあり、原作に惚れこみ映像化を熱望したという。「時代はいつしか平成から令和に変わったけれど、それでも私たちが記憶の底で、遺伝子の隅々まで忘れてはいけない物語が確実に存在する。戦後の沖縄を舞台に描かれる『宝島』は、まさにそんな類の物語だ。蛮勇にも近いこの冒険に集まってくれた俳優・スタッフたちと力を合わせ、多くの人に希望と勇気を感じていただけるような、そんな作品を粘り強く作りあげたい」と覚悟を語っている。 圧倒的熱量で描かれた原作と、細部まで徹底的にこだわり、台詞のないシーンや物語の中心ではない市井の人々にまで熱い感情を注ぎ込む大友監督との出会いは、日本映画を新たな境地へと導くに違いない。 ■映画『宝島』あらすじ 沖縄がアメリカだった時代。米軍基地から奪った物資を住民らに分け与える、“戦果アギヤー”と呼ばれる若者たちがいた。その中心にいるのは、いつか「でっかい戦果」を上げることを夢見る幼なじみのオン、グスク、ヤマコ、レイ。その中でも、英雄的存在であり、リーダーとしてみんなを引っ張っていたのが、一番年上のオンだった。全てを懸けて臨んだある襲撃の夜、オンは「予定外の戦果」を手に入れ、突然消息を絶つ。残された3人はやがて、警察官、小学校の先生、ヤクザになり、それぞれの想いを胸に、憧れの存在オンの失踪の謎を追うが――。 警察官になり、英雄オンの痕跡を追う親友グスク役を妻夫木が演じる。沖縄が舞台の映画『涙そうそう』(06年)でも主演を務めた妻夫木は「再びコザを舞台にしたこの作品でグスクを演じることに運命を感じています。沖縄には、未だ続いている問題がたくさんあります。みんなの言葉にならない声を芝居に変えて伝えていくことが、この作品に導かれた僕の使命だと思っています。映画という枠を超えて一つになれる、この映画にはその力があると信じています。最後まで覚悟を持ってみんなで突き進んで行きたいと思います」と熱い想いを語っている。 広瀬が演じるのは、小学校の教師になり、恋人オンの帰りを信じて待ち続けるヤマコ役。大きな喪失感を抱えながらも、人に愛情を与えたくましく生きる役どころに「監督が『この作品では太陽でいてほしい』と仰ってくださったのがストレートに自分に届き、ヤマコはみんなの希望になっていいんだと、全力で演じたいと思いました。エネルギーを吸い取られるほどのチームの熱量は、映画にそのまま映るような気がしていて、私自身も既に完成が楽しみです」と、決意と期待を覗かせる。 そして消えた兄の影を追い求め、ヤクザになる弟レイ役を窪田が演じる。『るろうに剣心』(12年)以来、12年ぶりとなる大友組に「情熱の絶えない大友監督が描く『宝島』は、どんな情景、感情の色彩をしているのか、現地で体感できることが楽しみです。共演者も熟練された実力者の方ばかりなので氣を引き締め精進し、現場で生まれる芝居、その変容を楽しみながら、『宝島』の一部になれたらと思っています」と意気込む。 そして20年の歳月を経て明かされる、オンの衝撃の真実。島中が憧れ慕う英雄オン役を演じる永山は「妻夫木聡さん、広瀬すずさん、窪田正孝さん、という絶対的に信頼できる役者さんと共に、戦後の沖縄で、彼らが未来をしっかりと見据えて力強く生きた証を作品の中で残せるよう、身も心も大友組に捧げたいと思いました」と決意を語っている。 本作は、ハリウッドに拠点を置くLUKA Productions Internationalも製作に参加しており、企画プロデューサーの五十嵐真志は「素晴らしい原作に出会い、大友監督と一緒に是非映画化したいと、時間をかけて準備をしてきました。当時アメリカの統治下だった戦後の沖縄を描く、スケールの大きな作品のため、アメリカとの共同製作という体勢で臨みます」と海外展開も視野に語る。 今年2月に沖縄でクランクインした本作は、約2ヶ月間に及ぶ沖縄での撮影を終了。現在は、関東や和歌山県などで大規模なクライマックスシーンの撮影に入っており、来月(6月)クランクアップを予定している。