地球温暖化の影響で中国の平均気温上昇
【東方新報】中国国家気象局によると、昨年の中国の平均気温は摂氏10.92度に達し、これは歴史的平均気温より摂氏1.03度高く、1961年の観測記録作成開始以来最も暖かい年となった。 同局の公共気象サービスセンター「ウェザー・チャイナ」のデータによると、中国の過去4年間は実際、中国で最も気温が高かった上位4年間であり、また最も気温が高かった上位10年間はすべて21世紀に記録されたものだ。 同局の下部機関「国家気候センター」の研究者は「地球温暖化は海面上昇や氷河の融解などの現象を引き起こし、それらは中国に影響を与え続けている。例えば、異常気象の頻度と激しさが大幅に増加し、熱波の頻度と期間が長くなる一方で、寒冷現象の発生は減少している」と説明する。 また「エルニーニョ現象(太平洋の海面水温が異常に上昇する現象)などの自然気候変動も、気温上昇の一因となっている。エルニーニョ現象が終息する段階、通常は翌年、世界平均気温は上昇する傾向があり、異常気象の頻度と強度が増し、地球温暖化が加速する可能性がある。2023年5月に始まったエルニーニョ現象は、中国に影響を与え続け、昨年の平均気温を上昇させる要因となった」とも話している。 世界気象機関(WMO)も昨年12月30日、24年が観測史上最も気温の高い年になる見通しで、人類の活動によって引き起こされた前例のない熱波の10年間の頂点となるだろうとの予測を発表した。 国連事務総長のアントニオ・グテーレス( Antonio Manuel de Oliveira Guterres)氏は新年のメッセージで、世界は「命にかかわる暑さの10年間を耐えてきた」とし、24年は前例のない気温の10年間の頂点に達したと述べた。 世界気象機関のセレステ・サウロ(Celeste Saulo)氏は、2024年を「目を覚ますような警鐘」と表現している。同氏は「気温が摂氏1度上昇するごとに、気候の極端性、影響、リスクが増大する」と警告する。 中国国家気候センターの研究者も「平均気温が摂氏1度上昇すると、生態系に広範囲にわたる重大な影響が及ぶ可能性がある。長期的には海面水位の約2.3メートルの上昇につながり、沿岸の生態系を脅かす。気温の上昇は野生の作物種の遺伝的多様性に影響を与え、害虫の蔓延を増加させる。急速な気候変動に適応できない種は絶滅の危機に直面するだろう。地球の平均気温が摂氏1.58度上昇すると、10パーセント以上の生物種が絶滅する可能性があるとの研究データも出ている」と強い警告を発している。 また同センターのシニアエンジニアは「一部の地域では、気温上昇により一時的に作物の収穫量が増加する可能性もある。しかし長期的に見れば、農業生産はより巨大な変動と収穫減少に直面するだろう。地球温暖化による不均等な降水量は、一部の地域では降雨量の減少につながり、水不足を引き起こす恐れがある。摂氏1度の気温上昇で、世界で水不足の影響を受ける人口が4億人から17億人に増加する可能性がある。また気温の上昇は熱中症や熱疲労などの熱に関連する病気のリスクを高め、死亡率の上昇にもつながる」と非常に厳しい見方を示している。 今年も平均気温を上回る気温で始まった。1月1日の午後、長江以南の大部分の地域では、冬に通常予想される厳しい寒さとは程遠い摂氏15度を超える気温を記録した。 国家気象センターの発表によると、2日から全国的な寒波が到来するとの予報が出ていたが、その勢力が弱いため、12日までは多少の変動はあるものの、ほとんどの地域で平均気温を上回る見込みだという。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。