「90%以上の人が鍵をかけています」 福島県警、ナッジ理論で自転車盗難抑止へ 看板や横断幕でさりげなく
福島県警は増加傾向にある自転車盗難を抑止しようと、警察庁科学警察研究所や福島大と連携し、行動科学のナッジ理論に基づく社会実証に乗り出す。「いつも鍵を掛けていただきありがとうございます」「この駐輪場では90%以上の人が鍵をかけています」。施錠を強制するのではなく、促すような看板や横断幕を福島県内主要駅の駐輪場14カ所に設置し、施錠率や盗難被害件数が改善するかを検証する。県警としては初の試みで、全国でも先駆的という。 ナッジは英語で「そっと後押しする」という意味。ナッジ理論は強制や命令、指示ではなく、選択の余地を残しながらより良い方向へ導く行動科学。さりげなく勧められた方が、率先して動きやすくなる人間の心理に着目した政策手法として知られる。 社会実証は福島、郡山、郡山北、白河、若松、いわき中央、いわき東の7署管内にある盗難被害の多い駐輪場計14カ所で、8月末から11月末までの約3カ月間展開する。看板や横断幕の文言は「鍵かけの1秒が自転車を守ります」「自転車の鍵を忘れずかけよう」を含め4種類を想定。どの文句が最も効果的かも分析する。27日にJR郡山富田駅駐輪場で設置式を行う。
県内の主要な駅前では、無施錠の自転車が盗難に遭うケースが多発している。県警が今年1~7月に認知した自転車盗は679件で前年同期比163件(31・6%)増えた。無施錠での被害が66・6%に上る。高校生の被害が45・1%で最も多く、大学生10・2%、中学生8・1%などとなっている。