『ゴジラ-1.0』はなぜアカデミー賞をとれたのか 映画評論家が指摘するハリウッドの変化
日テレNEWS NNN
アメリカ映画界最高の栄誉とされるアカデミー賞の授賞式が行われ、映画『ゴジラ-1.0』が日本映画としては初めて視覚効果賞を受賞しました。いったい何が評価されたのか、ゴールデングローブ賞の投票権を持つ映画評論家の松崎健夫さんに聞きました。 【画像】『ゴジラ-1.0』山崎貴監督が語る“日本ならではのワザ”
■「モンスター映画の側面よりも…」ゴジラが評価されたワケ
今回、『ゴジラ-1.0』がオスカーを獲得したのは『視覚効果賞』。過去の受賞作には、『アバター』や『マトリックス』、『スター・ウォーズ』など映画の映像表現に大きな影響をもたらした作品が並びます。 この賞について松崎さんは「VFX(視覚効果)やSFX(特殊効果)のような特撮に関して、その技術が高いかどうかを評価するという賞」としたうえで「基本的にアカデミー賞は、映画ファンや評論家が投票するのではなく、実際にハリウッドで働いてる人たちが投票するという特徴がある。この賞については、ハリウッドのVFXのプロが投票するので、技術的な表現をプロの目で見た評価が反映されるのが特徴」と話します。 その中で『ゴジラ-1.0』が受賞した理由について「今回の場合は5作品候補があるんですけど、100億円以上の予算をかけた映画が候補になっている中、『ゴジラ-1.0』は10分の1ぐらいの予算で作られたと言われている。低予算で作ってるっていうことと、スタッフの数がすごく限られている。なのにあのクオリティーを出したところに驚きと高い評価があるんじゃないか」と指摘。その上で「アカデミー賞というのはハリウッド映画の祭典なので、日本で作られたドメスティック(国内向け)なゴジラをわざわざ評価する必要はなかったと思うんです。その中でアメリカで公開されてヒットして、水の表現がすごいなどと取り上げられることによって、ゴジラのモンスター映画としての側面よりも、VFXの技術的な側面が評価されたのが大きいんじゃないかなと思いましたね」と分析しました。
■「国内向けに映画を作ったとしても…」アカデミー賞の変化とは
アカデミー賞の『視覚効果賞』をアジアの映画が受賞するのは史上初。今回の快挙達成について松崎さんは「例えば『ドライブ・マイ・カー』が作品賞の候補になりますとか、ワダエミさんが衣装部門でこの賞をとったとか、そういうことはあるんですけど、特撮っていうジャンルに関しては、日本はハリウッドをまねているということばかり言われ続けてたので、まさかこの特撮の部門で候補になるのは、誰も想像しなかったんじゃないかなと思う」と、驚きを語りつつ「ドメスティックに映画を作ったとしても、その国の人にとって面白いと思った映画を作れば、おのずと海外でも通用する時代になったんじゃないかというところはある」とアカデミー賞の変化を語りました。