【選手権】2点先制も追いつかれ....前橋育英、3-2で薄氷の勝利 「退場に救われて…」
1月2日、第103回全国高校サッカー選手権大会3回戦8試合が関東各会場で行われた。 【フォトギャラリー】帝京大可児 vs 前橋育英 駒沢陸上競技場での帝京大可児(岐阜代表)と前橋育英(群馬代表)の試合は3-2で前橋育英が競り勝って、準々決勝に駒を進めた。 序盤は前橋育英。前半6分と8分にFW8オノノジュ慶吏(3年)が立て続けにゴールを決め、試合の主導権を握ったかに思われた。 しかし前半16分、帝京大可児MF14青木嘉宏(2年)のパスからMF9明石望来(3年)が決め、1点差。さらに同じく前半27分、MF7伊藤彰一(2年)がペナルティエリア内でシュート。相手選手に当たった、こぼれ球を最後はFW10加藤隆成(3年)が決め、同点に追いついた。 勢いに乗る帝京大可児だが、前半33分、ペナルティエリアの外に飛び出したGK1水野稜(2年)が相手選手を倒して、一発退場。10人で戦う不利な状況になった。 これ以降、一方的な前橋育英のペースに。ベンチは選手のコンディションを考慮し、こまめに交代カードを切り、守りの帝京大可児を崩そうとした。何度も決定機は作るものの、代わったGK17緒方琉太(3年)のナイスセーブの連発に阻まれ、ゴールを割ることができなかった。 そのなか迎えた後半36分、前橋育英、DF29牧野奨(2年)のクロスを途中交代のFW6中村太一(3年)が決め、これが決勝点となった。 投入8分後のゴールにFW6中村は「監督からは時間がないから決めてこいと言われました。チームのムードが悪かったなか、ゴールできたので、喜びは爆発しました」と笑みがこぼれた。 勝った前橋育英・山田耕介監督は「(帝京大可児の)パスまわしがじょうずなので苦労しました。相手のパスワークに対して連動したプレッシング、強度のある守備をやっていこうとしました。ただ(相手が)慣れてきたら、はがされてしまいました。やられるなと思ったら、やはりやられてしまいました」と2失点を振り返った。 やはり試合を分けたのは帝京大可児GK1水野の退場。山田監督は「退場に救われて、互角になった感じです」と明かすなど、薄氷の勝利に神妙な面持ち。選手からも11対11のままだったら、より厳しい試合になったと異口同音に語られるなど、それだけ帝京大可児の攻撃が鋭かったと言える。 それにしても、もったいない。前橋育英は立ち上がりで2得点。より優位にゲームを進められたはずだが、立て続けの2失点。しかも2回戦の愛工大名電戦でも今回同様、2点先取しながら、終盤、追いつかれ、辛くもPK戦で勝利をおさめるなど、同じような展開が続いている。 なぜ、繰り返されてしまうのか。なぜ、得点後、結果的にバタついてしまうのか。 GK1藤原優希(3年)は「2点取ってみんなが余裕をもったわけではないですが、判断の部分。ボールをつなぐ時、中途半端に近くの選手を見過ぎてしまうので、前に大きく蹴るなどはっきりしたプレーが必要でした」とプレーの選択・判断について触れれば、MF7白井誠也(2年)は「先に2点入るとどこかで油断する部分、甘えてしまう部分があるのかなと思います。立ち上がり、流れの良い時はプレスもうまくいってボールを奪えますが、2点入ってから、動きが硬くなったように見え、ボールを取り切れず、失点につながったと思います」とメンタル面を指摘。またDF3瀧口眞大(2年)は「プレミアリーグEASTでも点が入った後の5分後に失点があるので、そこはもっと集中しないといけない」と課題のひとつであることを示した。 ただ、そこで勝ち切る、勝ち切ってしまうのが前橋育英の強さとも言える。その反面、こうした試合が続いてしまう遠因ともいえる。 「(今回の試合を)良い学びにして次の準々決勝につなげられれば良いと思います。もう一回、締めるところを締め、良いところは伸ばしていきたい」と抱負を語った山田監督。 なお、前橋育英は1月4日、準決勝進出をかけ、堀越(東京A代表)とフクダ電子アリーナで対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)