内々定でも福利厚生が使える企業急増中 ホテル宿泊、飛行機代割引…専門家が指摘する「入社後の危険性」とは
■導入する企業は年々増加傾向に 「内定者向けの福利厚生が欲しいという各企業の人事担当者さんからの声を受けて、弊社では10年前くらいから新卒内定者向けの福利厚生サービスの提供を始めました。割引サービスなど『消費』に直結したものはもちろんのこと、最近ではSNSなどのセキュリティ研修を含むeラーニングなどを福利厚生の一環として導入する企業も非常に多い印象です」(広報担当者) リロクラブによると、同社が福利厚生サービスを提供する企業の今年4月入社の“内定者”からの利用が最も多かったのは、ファストフードやファミレス、居酒屋などのカジュアルな飲食店での割引サービスで、カラオケ、スパ、サウナや日帰り入浴施設での割引、スーツやパソコンなどの購入費割引などが続いた。 さらに、近年では「内々定でも福利厚生サービスを使えるようにしたいという企業も増えている」という。 「2年ほど前までは、基本、内定者の福利厚生利用は内定式が終わる10月から、という形でサービスを提供していました。しかし、昨今は就活の早期化によって、内定式を迎えていない状態、いわゆる“内々定”でも福利厚生を使えるようにしたいという声も聞こえ、入社する前年の8月から使える福利厚生サービスの提供も始め、導入する企業は増えています」(リロクラブの担当者) 実際、8月から利用する内定者もいるといい、福利厚生に加え、「eラーニング」や「Excel」の研修を受ける内定者も多いようだ。 また、同社のサービスは中小企業が中心だが、最近は大企業からの問い合わせも多いという。前出の担当者がこう話す。 「大企業、中小企業に関わらず、内定者向けの福利厚生については問い合わせが増えており、導入する企業は毎年、前年比で約10%増の状態です」 内々定の段階で会社勤めをしているかのような気分を味わえるわけだが、学生がそうしたことを求めているのだろうか。 ある小売大手の人事担当者はこう話す。 「今は、大手企業が採用内定を出しても蹴られるのが当たり前の時代。大手、中小に関わらず、会社に入って自分自身が成長していくことをイメージできるか、入社して楽しみもいっぱいあるか、などを早い段階で学生に見せて学生の心をとらえる必要がある。今後もどんどん先手を打って人材確保に対応していく必要があります」