名店の内装引き継ぎ、喫茶店文化を次世代へ 大阪市西区、古くて新しい「水鯨」
大阪メトロ阿波座駅から徒歩約5分、大阪市西区の外国人居留地跡に、「古くて新しい」喫茶店がある。金沢市で40年以上営業し、地元の人々に愛されつつも2020年に閉店した「珈琲館 禁煙室」の内装を受け継ぎ、2021年にオープンした「喫茶 水鯨」。店主の山口修平さん(34)は「喫茶店は日本の文化財」と、次世代への継承活動に情熱を傾けている。(共同通信=米田亮太) 色鮮やかなステンドグラス、どこか懐かしさを感じさせる赤い布地の椅子…。店に入ると、昭和にタイムスリップしたような空間が広がる。営業するのは修平さんと妻加奈さん(34)。メニューには、ナポリタンやプリンアラモードなど、喫茶店の定番料理が並ぶ。 開業前は調理師として働いていた修平さん。独立するなら喫茶店と思い続けていたが、「レトロなテーブルや椅子などを買いそろえるのではなく、閉店する喫茶店をそのまま引き継ぎたい」と考えるように。旅行で訪れ、印象に残っていた「禁煙室」が閉まると知り、後継ぎになることを申し出た。
同じ場所で店を残すことはかなわなかったが、話し合いの末、多くの内装を受け継ぐことに。カウンターや椅子、壁のタイルなどを「水鯨」に移設し、40年以上の歴史を刻んできた空間を引き継いだ。「ただ古いものを使って商売したいわけじゃなく、前の店の素晴らしさを伝えていきたい」。「禁煙室」の名物メニューだった3色のクリームソーダやブレンドコーヒーなども、味を再現しメニューに加えた。 修平さんは「人と人との距離が近く、店それぞれの調度品へのこだわりもあって、くつろげる雰囲気のある喫茶店が大好き」と話す。その思いから、閉店する喫茶店を訪ねて話を聞き、後継ぎを探したり、店の調度品を受け継いだりする「継承活動」にも取り組んでいる。 今春「日本喫茶文化協会」を立ち上げ、活動を本格化させた。「喫茶店は日本の文化財。各地で閉店が相次ぐ中、なんとかこの文化を残していきたいと思っています」 ◎「水鯨」のホットケーキ
「喫茶 水鯨」のホットケーキは、店の庭で偶然見つかったレシピを基にした一品。店主の山口修平さんによるとレシピは、実在した「関西喫茶専門学院」が、喫茶店を開業する人たち向けに実施していた講座で使っていた教科書の一部という。食べると、屋台のベビーカステラのような素朴な甘みが口いっぱいに広がる。
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