ビストラ・ゼロ（Vistra Zero）のプロジェクト・マネージャー、デイビッド・イェーガー（David Yeager）が古い発電機棟のバッテリーアレイを点検している。

ビストラがクリーンエネルギー需要に牽引され、216％の上昇でS&P500をリードしている。 ビストラは今年初め、自社のクリーン・エネルギーのプロファイルを強化するために4つの原子力発電所を買収した。 原子発電による電力は「データ・センターの絶え間ないエネルギー需要にマッチする」とモーニングスターは述べている。 S&P500種株価指数において、今年これまでで最も好調な銘柄は、AI大手のエヌビディア（Nvidia）ではない。 おそらく誰も聞いたことがないであろう公益企業のビストラ（Vistra Corp.）だ。 ビストラの株価は年初来216％上昇し、その時価総額は約420億ドル（約6兆450億5000万円）まで急増した。投資家がクリーン・エネルギーの供給元へのエクスポージャーを求めているからだ。 発電企業のビストラは、カリフォルニア州からメーン州まで、さまざまな市場に電気を卸売している。 ビストラが他の電力会社と異なるのは、規制のない電力市場で事業を行っている点だ。 そのため、通常は1つの有力企業が支配している地域公益事業市場で、規制当局が設定する厳しい価格統制の影響を受けることがない。 これによりビストラは、アメリカ中のAIを駆使したデータ・センターからもたらされる膨大な電力需要を柔軟に活用することができる。 「原子力発電所による通年低コストで排出物ゼロの電力は、データ・センターの絶え間ないエネルギー需要にマッチする」とモーニングスター（Morningstar）のストラテジスト、トラビス・ミラー（Travis Miller）はこのほどのメモの中で述べた。 「進む経済の電子化と、データ・センターの電力需要アップの可能性の恩恵を受けることができる、良いポジションだ」 その需要を満たすためビストラは、原子力発電所でクリーン・エネルギーを作ることに注力している。 ビストラは3月、エナジー・ハーバー（Energy Harbor Corp.）を34億ドル（約4940億5200万円）で買収し、合計6400メガワットの電力を生み出す4つの原子力発電所の管理権を獲得した。 ミラーによると、4つのうち3つの原子力発電所が、9月初めにコンステレーション・エナジー（Constellation Energy）とマイクロソフト（Microsoft）が発表した取引と同様に、データ・センター企業担当の「有力候補」だという。 AIデータ・センターのおかげで電力の需要は急増している上、ビストラは株式は利下げの恩恵も受けている。資本集約産業と見なされる同社が資本コストを下げられるからだ。 ビストラの上昇率は今年のS&P500銘柄で、138％増と2番目に好調なエヌビディア（Nvidia）を大きく上回っている。 偶然にも、3番目に好調な銘柄は、コンステレーション・エナジーで、年初来126％の急増となっている。 ビストラ同様、コンステレーション・エナジーも、規制のない公益事業で、自社の原子力発電所を使い、AIデータ・センターからの電力需要に応えている。 また、公益事業セクター自体が、今年これまでで最も好調なセクターで、年初来約30％増となっている。