直木賞作家・小川哲、漫画家の妻と交わしている“条約”とは?「お互いの作品を…」
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 12月5日(土)、12月9日(土)の放送ゲストは、直木賞作家の小川哲(おがわ・さとし)さんです。9日(土)の放送では、10月に最新刊『君が手にするはずだった黄金について』を刊行した小川さんが、直木賞受賞後の変化などについて語ってくれました。 【写真を見る】パーソナリティの茂木健一郎、小川哲
1986年生まれ、千葉県出身の小川さん。東京大学大学院 総合文化研究科 博士課程 在学中の2015年、『ユートロニカのこちら側』で「第3回ハヤカワSFコンテスト」大賞を受賞しデビュー。 その後、2017年に「ゲームの王国』で「第31回山本周五郎賞」「第38回日本SF大賞」を受賞。2019年には短編集『嘘と正典』が「第162回直木賞」候補となりました。 さらに2022年刊行の『地図と拳』が「第13回山田風太郎賞」と「第168回直木賞」を受賞。同年刊行の『君のクイズ』は、「第76回日本推理作家協会賞」長編および連作短編集部門を受賞しています。
◆漫画家の妻とのある“条約”
茂木:直木賞作家になると、忙しさって体感的にはどう変わるんですか? 小川:受賞後は、やはり受賞に関する取材とかがたくさんありますね。こちらも本を売るチャンスなのでなるべく引き受けると、そういうのでけっこう忙しくなります。あとは新聞にエッセイを書いたり。仕事は増えますね。 茂木:受賞会見で「早く終わらせてお酒飲みたい」っておっしゃっていましたが、あのあとはおいしいお酒が飲めましたか? 小川:朝まで飲みました。 茂木:公私ともに充実されていますね。漫画家の山本さほさんと、ご結婚もされたということで。小説家とマンガ家……どんな話をするのですか? 小川:家では、仕事の話はあまりしないですね。うちは「お互いの作品を読まない」っていう条約があるので(笑)。 茂木:小川さんの最新作は、村上春樹さんを思い起こさせるところがあるなと思ったのですが、村上さんは奥様に作品を読んでもらっているそうですね。 小川:奥さんが最初に原稿を読むのは、けっこう有名な話ですよね。 茂木:小川さんの原稿を最初に読むのは? 小川:編集者です。村上さんのところと事情が違うのは、2人とも表現の仕事をしているので、たとえば僕がエッセイ書くときに、家で話をして試したりするんです。その話をエッセイにして読まれたら、「あの話、こういうふうに書いたんだ……」ってなりますよね。お互い相手に向けて書いているわけではなく、もっと遠くの読者に向けて書いているので、外に発信する以上、やりづらさみたいなものはあるので、必要以上に意識しないように、読まないことにしていますね。 番組では他にも、日々執筆するにあたって考えていることや、物語・小説の未来などについて語ってくれました。 (TOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」12月9日(土)放送より)