円が対ドルで上げ加速、一時153円台-円買い介入の観測浮上
(ブルームバーグ): 1日夕方のニューヨーク外国為替市場で円がドルに対し一時3%上昇し、153円04銭を付けた。日本が祝日だった4月29日に一時160円17銭と約34年ぶりの安値を更新後に急騰した際の154円54銭を超えて買われた。市場では、日本の通貨当局が円買い介入を実施している可能性があるとの観測が浮上している。東京市場2日朝の取引では、円は155円台に戻している。
三井住友信託銀行米州部マーケットビジネスユニットの山本威調査役(ニューヨーク在勤)は、1日のNY外国為替市場終盤の円急騰について、値動き的には介入のように見受けられると語った。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストも、米連邦準備制度理事会(FRB)の顕著なタカ派化回避と米指標の弱さからドル安圧力が強まり、欧州勢のアクティビティーが低下した段階でタイミングをうかがった介入再発動の可能性があるとの見方を示している。
米連邦公開市場委員会(FOMC)はインフレについて再び懸念していることを示唆し、利下げを開始するには物価上昇ペースが鈍化していることを示すさらなる証拠が必要だと改めて指摘した。
FRBのパウエル議長は会合後の記者会見で、「今年はこれまでのところ、特に確信を深められるようなデータは得られていない」と発言。「インフレに関する指標は予想を上回っている。確信を強めるまで、従来の想定よりも時間がかかりそうだ」と述べた。
FOMC、政策金利据え置き-インフレ沈静化の進展は失速
財務省の神田真人財務官は2日、為替介入の有無について、今は話せることはないとして、介入実績は今月末に公表する予定だと述べた。30日も介入の有無についてコメントを避けた上で、「過度な変動が投機で発生すると国民生活に悪影響」だと指摘し、24時間体制で対応すると発言していた。
神田財務官:為替介入の有無については今、お話できることはない
日本銀行が公表した5月1日分の当座預金増減要因の予測値からは、5兆円強の介入が行われた可能性が示されている。