建設現場での熱中症防げ 対策機器の導入、暑さしのぐ休憩室…熊本労働局「暑さ指数」把握を
熱中症に強い注意が必要な季節になった。屋外での作業が多い建設現場では、最新の機器を導入したり、作業員が暑さをしのげる休憩室を現場に造ったりと、あの手この手で対策を講じている。熊本労働局は、熱中症の危険度を示す「暑さ指数」を把握し、積極的に休憩を取るよう呼びかけている。 熊本市西区のJR熊本駅そばで建設が進む30階建てタワーマンションの建設現場。大林組(東京)などの共同企業体は、地上や最上階の3カ所に「暑さ指数」の測定機を設置している。 暑さ指数は気温や湿度、日差しの強さから算出する。基準値を超えると、各担当者のスマートフォンに通知が届き、作業員の体調を確認する。深部体温を計測できる腕時計型の機器も全員が装着している。体温が上がって警告音が鳴ると、必ず休息を取る決まりだ。 さらにタワーマンションの建設現場特有の対策として、最上階に冷房を備えた休憩室を設置している。以前は休憩するため地上に降りる必要があったが、階数が上がっても、すぐに体を休められるようにした。
工事事務所の真部洋介所長によると、毎年の労働災害の約2割を熱中症が占める。「以前は『気合が入ってない』『抜けている』などとして、体調を崩す方が悪いという雰囲気があった」と振り返る。現在は「熱中症は災害」を共通認識に、撲滅に向けて取り組んでいると強調する。 最近では高齢の作業員が増え、体調管理に一層の注意が必要になった。65歳以上の作業員にはヘルメットに、高齢者を示す緑のテープを貼り、高所作業を割り振らないなど、全員で体調に気を配っている。 熊本労働局によると、2023年に県内の職場で休業4日以上の熱中症にかかったのは14人。大半が7~8月に発生しており、特に注意が必要だという。 6月25日、タワーマンション建設現場をパトロールした熊本労働基準監督署の新門史章署長は「熱中症は重症化する前に、本人が体調不良だと気付くことが大事。『一緒に休もう』と声をかけて休ませてほしい」と責任者らに呼びかけた。(丸山伸太郎)