朝ドラ『虎に翼』47歳俳優の「伝説の喜劇王」との共通点。“謎のピンピン体操”から読み解く
朝からスルメイカを炙って、日本酒をぐびぐび。陽気な人だが、とんでもない三枚目キャラが登場したな。 【画像】家庭裁判所の設立を担当する多岐川幸四郎(滝藤賢一)の奇行が面白い(全5枚) 『虎に翼』(NHK総合)で家庭裁判所の設立を担当する多岐川幸四郎(滝藤賢一)の奇行には驚かされるが、でも面白過ぎる。 イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、“朝ドラの喜劇王”滝藤賢一を解説する。
滝藤賢一は魔術師?
「グリグリグリグリグリーングリーン……」 転職サイトGreenのコマーシャル「テンテングリグリ」篇で、滝藤賢一が何度も連呼する。いったい、何のことやら。でも不思議と気になる。滝藤がかき混ぜるクリームソーダが(!)。グラスの底からシュワシュワ上がってくる炭酸の泡。 どうもこの呪文のような言葉によって、この泡が発生しているように思えて仕方ない。ディズニー映画『白雪姫』(1937年)で魔女が老婆に化けるためにすごい緑色の炭酸ドリンクを作っていたが、それに似てる気がする。滝藤賢一とは、まるで炭酸の泡を自然発生させるかのような魔術師なのかもしれない。 そう本気で思わせる力がこの人にはある。その意味で朝ドラ『虎に翼』の初登場場面もなかなかのインパクトだった。第11週第52回、家庭裁判所設立を託された課程局局長・多岐川幸四郎(滝藤賢一)が、滝に打たれる……。
多岐川なら滝行くらい朝飯前と考えた?
いや、何で? 滝藤という苗字だから滝行とか? ちょっとしたシャレだとしても、絶対この場面いらないでしょとツッコミたくなる。だけど同時に妙に納得してしまう。 この滝行の初登場場面の直前、最高裁判所長官・星朋彦(平田満)が人事課長・桂場等一郎(松山ケンイチ)と秘書課長・久藤頼安(沢村一樹)に「どうだい、例の件は」と聞く。すると久藤が、「あの人なら、きっと、やり遂げてくれるでしょう」と答える。 そう納得させるからには、ちょっと浮世離れした人物像のほうがいいんじゃないか。だったら滝行くらい朝飯前だろう。きっとそういうふうに考えて、あの蛇足的場面が描かれたのではないだろうか?