ゴルフシューズもストリート? 安達葵紬 ゴルフ始めました【Dispatch 6】
二人組ユニット「カノサレ」のメンバーとして活動するアイドル、安達葵紬がゴルフの道に足を踏み入れる。旺盛な好奇心と高い身体能力を誇る彼女に課せられた目標は〈100切り〉。ゴルフの「ゴ」の字も知らない彼女が目標を達成する日は来るのだろうか。当シリーズは来るべきその日まで続く。
ゴルフシューズもストリート?
「大丈夫です! でも今日は、靴を脱いでやりましょう」 マネジャーの池田さんが連れてきたプロゴルファーの福住尚将さんは、安達さんの厚底靴をチラ見して言った。そして、初めてのゴルフレッスン(ディスパッチ1~5)が始まった。屋内なので、靴を脱いでも問題ないが、次からはそうもいかない。 「スニーカー、どうしようかな」 安達さんが漏らすと、福住さんは軽く言った。 「あっ、なんでも大丈夫ですよ、運動靴であれば。ひとつだけ、極端な厚底だと、身体の使い方が変わってきちゃうので。できれば一般的な厚みのスニーカーで、練習のときには同じ靴を履き続けるのが良いと思います。はい、だから本当、普通のやつでいいんで」 なぜだか、安達さんは不満顔。 と、マネジャーの池田さんが編集者に囁いた。 「アダチ、マジなほうのスニーカー・マニアなんです……」 * それからしばらく、初めての舞台出演のための稽古とゲネプロ、本番を終えた安達さんが、編集部にやってきた。 「池田さんはまだですか」 「お疲れ様です。もう着いてますよ」 喜色満面の笑みを浮かべ、応接間から池田さんが顔を出す。 「ちゃんと持ってきた?」 安達さんが頷く。後ろ手に、大きなスーツケースを引いている。 「いいね、いいね」 池田さん、大いに喜ぶ。 「っていうか、なんで池田さん、ビクトリーの取材のときだけ、なんにも教えてくれないんですか」 「だって、そのほうが面白いじゃん。今日も、面白い人に来てもらったから。早く、早く」 安達さんは黒いスーツケースを引いて、応接間に――そこには、緑のスウェットにキャップ姿の怪しげな男。 「こんにちは、我孫子と言います」 安達さんのファンにはなんのこっちゃ、本サイトの読者にはお馴染みの我孫子裕一さん。ファッション誌『GRIND』の創刊編集長(2009年~)を経て、フリーランスのクリエイティブ・ディレクターに転身。 2015年頃から活動の舞台に選んだViceジャパンでは、編集執筆にとどまらず、Amazonと共同製作したオーディブルコンテンツ『DARK SIDE OF JAPAN ヤクザ・サーガ』(https://www.audible.co.jp/pd/DARK-SIDE-OF-JAPAN-ヤクザ・サーガ-Podcast/B09HL3QDM2)の企画立案/リポーターも務めるなど、変幻自在の活動を見せている人物だ。 「えっ、あの我孫子さんですか!」 安達さんの表情が明るくなり、眉間のシワが消えた。 「ビクトリーの連載、いつも楽しみにしてます」 我孫子さんは『スポーツとファッション』と題した人気の読み物を本サイトで連載中なのである。 「ちゃんと持ってきた?」 池田さんがもう一度、聞いた。 「持ってきましたよ」 今度は嬉しそうに、安達さんが言った。スーツケースを開けると、箱がずらり。 「ゴルフの練習用の靴、迷ってたじゃん。我孫子さんに色々相談したら面白いと思ってさ。せっかくだから、自慢のスニーカー、ベスト5を持ってきたらって言ったんです」(池田マネ) というわけで、練習用のスニーカー選びに端を発した、謎の対談が始まった。