「企画を聞いたときは『アホちゃうか』と思った」火野正平が自転車旅で発見したこと【追悼】
「世の中にはこんなに面白い人たちがいるんだ」
この番組のいいところは、手紙に書かれている風景が見えなくても、それで終わりにすること。例えば夕焼けって、天気が悪かったら見えないけど、それはそれ。「見えないからごめん」って。静岡に2週間いても富士山が一回も見えなかったり、富山に行っても全然立山が顔出さなかったり。あとは「心の目」で見てください、と。 よく「人との触れ合いが面白い」と言われるけど、そこまで意識はしていない。番組だから地元の人に声をかけているだけで。もちろんべっぴんさんは好きだよ。遠くを歩いていても可愛いなと分かる。後で番組を見直しても、こんなきれいな人をよう見つけたなと思うことも多い。でもそれ以上に「世の中にはこんなに面白い人たちがいるんだ」と気がついた。いい子、可愛いおばちゃん、おもろいお爺ちゃん。そういった人たちに、俺は嫌われていなかった、というのも驚いた。自分ではあまり良いイメージはないだろうなと思っていたから。これは発見やったな。休みのときも、街でよう声かけられるもの。 ※本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています( 火野正平「自転車に乗ってとうとう6年目」 )。
火野 正平/文藝春秋 2016年4月号