米提供「ブラッドレー歩兵戦闘車」が無慈悲な射撃…ロシアが誇るT-90M戦車、抵抗もできず炎上・爆発の瞬間
<アメリカがウクライナ軍に提供したブラッドレー歩兵戦闘車は前線に大きな変化をもたらし、ロシア兵たちを怯えさせているという>
アメリカがウクライナに供与したブラッドレー歩兵戦闘車が、ウクライナ東部の激戦地でロシア軍の主力戦車を打ち負かす様子を捉えた新たな動画が公開された。動画には、ロシア軍のT90M戦車が激しい射撃を受け、火花を散らして大きなダメージを負う瞬間が映し出されている。 【動画】米提供「ブラッドレー歩兵戦闘車」が無慈悲な射撃...ロシアが誇るT-90M戦車、抵抗もできず炎上・爆発の瞬間 ウクライナ国防省がインターネット上に投稿した短い動画には、米国製ブラッドレー歩兵戦闘車とみられるものがロシア軍のT90Mタンクに向けて25ミリ砲を連射し、ロシア軍のT90Mから激しく火花が散る様子が映っている。 オープンソース・インテリジェンスのアカウントによれば、動画はウクライナ軍第47機械化旅団がウクライナ東部の激戦地ドネツク州アウディーウカの北西部にあるステポベ村で撮影したものだ。米シンクタンクの戦争研究所は、地理位置情報を含む過去1週間の動画から、この数日でロシア軍がステポベに進軍していることが伺えるとしている。 ロシア軍は2023年10月前半にアウディーウカに攻勢を仕掛け、ステポベなどの集落を制圧してアウディーウカを包囲しようと狙っている。 ■ブラッドレーは前線に大きな変化をもたらしてきた 本誌はこの動画の信ぴょう性を独自に確認することはできていないが、ウクライナ軍第47機械化旅団の報道官は本誌に対して、動画に映っているのはステポベ近郊で作戦活動中だったブラッドレーだと語った。本誌はこの動画についてロシア国防省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。 ウクライナでの戦闘が始まって23カ月。西側の専門家とウクライナの兵士たちは、第47機械化旅団が一部の激戦地でのみ使用しているブラッドレーが前線に大きな変化をもたらしてきたと言う。 第47機械化旅団の司令官(通り名はカチ)は2024年1月に入ってから本誌の取材に対して、戦車や歩兵戦闘車を操るロシア軍の兵士たちは、戦場で「ブラッドレーが自分たちに向かってくる」と分かると「おじけづく」と語った。またウクライナ軍のワレリー・ゼルジニー総司令官の元特別顧問であるダニエル・ライスは、ブラッドレーの25ミリ砲が「ロシア軍の機甲部隊をずたずたに引き裂いている」と語っていた。 ■「ロシア戦車が素晴らしく見えるのは実戦で使われるまで」 ウクライナがブラッドレーの供与を受けてからまだ一年弱。ブラッドレーが初めて作戦で使用されたのは2023年の夏だ。アメリカはこれまでウクライナにブラッドレー歩兵戦闘車186両とブラッドレーの火力支援車両4両を供与している。ウクライナはこのうち100~120両を作戦で使用することができており、それ以外は訓練用や破壊された時の補充用にしている。 ロシア軍は、「プロリフ(突破)」の別名を持つT90M戦車を自賛してきた。T90MはT72のアップグレード版であり、米軍の主力戦車M1エイブラムスに対抗しうる戦車だと考えられている。ロシア国営のタス通信によれば、T90M戦車はT72よりも強力なエンジンを搭載し、砲塔が改良され、生存性が向上しており、夜間用のマルチチャンネル照準器も搭載されている。 軍事技術と防衛の専門家であるマイケル・ペックは2023年3月に本誌に対して、T90Mは「一見素晴らしいが、ロシア軍の戦車が素晴らしく見えるのは、いつも実戦で使われるまでだけだ」と述べている。
エリー・クック