高精度「ひずみ計」九州に初設置 南海トラフ巨大地震の前兆を観測へ
大分放送
大分県内でも大きな被害が予想される南海トラフ地震。その前兆をつかもうと九州で初めて佐伯市に「ひずみ計」が設置されました。 【写真を見る】高精度「ひずみ計」九州に初設置 南海トラフ巨大地震の前兆を観測へ ■「ひずみ計」は長さ6.5メートル、直径が9センチ (高橋宏明記者)「南海トラフ地震につながる地殻変動を捉えようと、佐伯市蒲江では現在、ひずみ計の設置に向けた準備が進められています」 国の研究機関の産業技術総合研究所が、18日設置工事をした「ひずみ計」。長さが6.5メートル、直径が9センチの地震観測機器です。背景にあるのは南海トラフ地震です。 (産業技術総合研究所・板場智史主任研究員)「南海トラフで発生する『スロースリップ』と呼ばれる現象を詳しく把握するために設置します」 南海トラフ地震では最大震度は7で、太平洋沿岸では大津波が予想されていて、県内でも佐伯市蒲江では最大で13.5メートルの津波が想定されています。 こうした巨大地震の発生前には通常とは異なりプレートの境界がゆっくりとずれる地殻変動との関連が指摘されています。これが「スロースリップ」と呼ばれる現象です。 (高橋宏明記者)「今作業が始まりました。ひずみ計がゆっくりと埋められていきます」 ひずみ計は地盤の伸び縮みを観測することで「スロースリップ」をとらえます。精度は1000キロの長さの岩盤が、わずか1ミリ変化しても検知することができる、きわめて高いものがあるということです。 ■「スロースリップ」を観測したら事前避難の呼びかけも 現在は気象庁や産総研などが全国39か所で運用していて、今回初めて九州にも設置されました。 (板場智史主任研究員)「東日本大震災以降、従来想定していたよりも、震源域が日向灘まで広がった想定となった。四国側だけからだと、豊後水道のことがよく分からないので、対岸の大分県にも観測点を設置することによって、スロースリップを詳しく知ることができるようになる」 複数の観測点で得られた地殻変動のデータを合わせることで「スロースリップ」がどの付近で発生しているか知ることができます。もし「スロースリップ」が観測されるなどした場合は、地震が発生していなくても気象庁から「南海トラフ地震臨時情報」が発表され、状況に応じて事前避難などが呼びかけられる可能性があります。
(板場智史主任研究員)「次の南海トラフ地震の予測っていうのは、普段と異なることがおきているものを、より素早く正確に知ることが大事。スロースリップがどのようなものなのか、どういった場所でどのくらいの間隔で起こっているのか、きっちりと知るということを、まずやっていきたい」 今回、地下550メートルに埋設されたひずみ計はデータの観測に問題がないかを確認した後、気象庁と情報共有される予定です。
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