ONE OK ROCK、King Gnu、クリープハイプ……2024年“最高”を更新したバンド新譜5選
気づけば2024年も残り45日。年末の大型フェス『COUNTDOWN JAPAN 24/25』のアーティストラインナップが発表されたり、『NHK紅白歌合戦』の出演者予想が飛び交ったりしてくると、年末が近づいているのだという実感が沸いてくる。そして、この一年で何があったか記憶を辿り始めるのが、毎年この時期だ。 【写真】土砂降りの中、海外スタジアム公演を完遂したONE OK ROCK 今回はそんなふうに振り返るなかで、特に今年の活動で自身の最高を更新したバンドたちの新譜をピックアップした。 ■ONE OK ROCK「Dystopia」 9月の日本・味の素スタジアム公演を皮切りに、バンド史上過去最大規模のワールドツアーを行ったONE OK ROCK。ツアーを終えてリリースされた新曲「Dystopia」は、報道番組『news zero』(日本テレビ系)のエンディングテーマだ。ニュースからは胸が痛む出来事も連日聞こえてくるし、身近な部分に目を向けても、毎日のなかで歯がゆく感じる場面は誰しも大なり小なりあるだろう。本作の歌詞の軸となっているのは、〈Find euphoria in dystopia〉(ディストピアのなかでも幸せを見つけよう)という、理想通りではない世界でも希望はあるとした、ポジティブなメッセージだ。暗闇を切り裂くような鋭く重厚なサウンドが、そうやって力強く生きていくことを語り、私たちを鼓舞しているようでもある。 ■King Gnu「ねっこ」 今年メジャーデビュー5周年という節目を迎え、5大ドームツアー、初の海外ワンマンツアーなど大きな挑戦を重ねてきたKing Gnu。そんな彼らから約1年ぶりに届いた新曲は、『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)の主題歌として書き下ろされたものだ。井口理(Vo/Key)のウィスパーな歌声で静かに始まるあたりは「白日」「カメレオン」なども想起させるが、決して同じことをなぞるのではなく、彼らはしっかりと更新してくる。今作で言えば、随所に秒針の音を聴かせながら、壮大さを増していくストリングス、途中で挟まれるシンガロングパートや転調など、時の流れとともに景色が移り変わっていくのを表現するような展開が非常にドラマチック。外からは決して見ることのできない花の根に着目した歌詞も、心の内側に宿る確固たる感情を表しているようだ。 ■クリープハイプ「人と人と人と人」 現メンバーとなって今年で15周年を迎えたクリープハイプは、夏にトリビュートアルバム『もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって』をリリースしたことも記憶に新しい。アルバムでSEKAI NO OWARIがカバーしている「栞」はFM802のキャンペーンソングだったが、そのFM802との再タッグで生まれたのが「人と人と人と人」だ。インストゥルメンタルバージョンが先行公開され、それを聴いたリスナーからのメッセージをもとに制作された今作には、アップダウンする私たちのリアルな日々が映し出されている。名前も知らない“人”たちが行き交う街で、おそらく大勢が同じように抱いているだろう孤独や不安、そして希望が描かれているのだ。決して派手さはないが、日常に溶け込むような温度感の楽曲だからこそ、ふいに耳にした際に「もう少し頑張るか」とそっと気合を入れ直す人も多いだろう。