新天地に南米を選んだ本田圭佑はブラジルの名門ボタフォゴの救世主となれるのか…待ち受ける熱狂と批判の洗礼
リオデジャネイロ州選手権では全国でも屈指の強豪となるフラメンゴ、フルミネンセ、バスコ・ダ・ガマが立ちはだかる。いわゆる「ビッグ4」に名前を連ねるボタフォゴは2018年の優勝から一転して、昨年はタッサ・グアナバーラ、タッサ・リオともにベスト4にすら進めていない。 通算の優勝回数でもフラメンゴの35回、フルミネンセの31回、バスコ・ダ・ガマの24回に対して21回と水を空けられている。ボタフォゴが復権を果たすための救世主としてサポーターから崇められている本田は、息をつく間もなく5月から年末まで開催されるブラジル全国選手権に臨む。 全国選手権の最上位となるセリエAには20クラブが集い、ホーム&アウェイ方式の長丁場のリーグ戦で頂点を競う。昨年はフラメンゴが6度目の優勝を果たした一方で、ボタフォゴは15位に低迷。17位以下の4クラブが無条件で喫する、セリエBへの降格を何とか免れている。 全国選手権にはリオデジャネイロ州のライバル勢に加えて、サンパウロFC、コリンチャンス、神様ペレを輩出したサントス、最多となる10回の優勝を誇るパルメイラスのサンパウロ州勢も集う。厳しい戦いなのを承知のうえで、それでもサポーターはボタフォゴの低迷脱却を願ってやまない。 ボタフォゴとの契約を今年末までとしたのも、クラブ側が全国選手権までを見すえているからだ。逆の見方をすれば、期待に応えられないパフォーマンスに終始すれば、本田へ注がれる熱狂ぶりは瞬く間に批判の嵐へと変わり、ボタフォゴが低迷するスケープゴートにされるだろう。 もっとも、こうした状況を誰よりも本田自身が楽しんでいる。会見で「いい意味でプレッシャーに感じているし、僕はプレッシャーが好きなのでワクワクしている」と語った本田は、ボタフォゴ入りを表明する直前に、自身のツイッター(@kskgroup2017)へこんな文面を投稿している。 フィテッセから逃げ出したと言っている人達 オリンピックに選ばれるわけないと言ってる人達 ボタフォゴのオファーも客寄せパンダと言ってる人達 本田圭佑の上から目線で自信満々な感じが嫌いな人達 本当にありがとう。心からあなた達に感謝してます。そして愛してます。(原文のまま) ビッグマウスを放つことであえて退路を断ち、さまざまなプレッシャーを成長するための糧に変えてきた本田の生き様が凝縮されたつぶやきと言っていい。今後は契約に盛り込まれたパーソナルトレーナーとともにコンディションを上げ、ボタフォゴでの成功の先にオーバーエイジでの東京五輪参戦を思い描きながら、タッサ・リオでの新天地デビューを目指していく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)