【ミャンマー】通貨安リスク続く、米利下げの影響限定的
ミャンマー通貨チャットの実勢レートは19日朝、1米ドル(約142円)=5,200チャット台となった。今月に入って横ばいの傾向が続いている。米国では、連邦準備制度理事会(FRB)が18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で4年半ぶりに利下げを決めた。利下げが続けば、対米ドルでアジア新興国通貨を押し上げる要因となるが、ミャンマーのビジネス関係者からは、政情不安に打ち消され、中長期的に通貨安が続くとの見方が出ている。 FRBは主要政策金利の0.5%引き下げを決定した。通常の2倍に相当する大幅な下げ幅だ。年内に、さらに0.5%引き下げられるとの見通しもある。 ミャンマーのビジネス関係者はNNAに、「米国の利下げが続こうが、チャットの回復は見込めない」と話した。実勢レートはクーデターから3年半がたった8月1日前後に5,000チャットを割り込み、一時は7,000チャット近くまで弱含んだ。政変前の1,300チャット台から通貨価値が大きく下落。物価高騰を引き起こしている。 民主化が進んだ10年代の政権で経済関連の要職を歴任したセアウン氏は、19日の交流サイト(SNS)への投稿で、「通貨の安定化は複雑な挑戦だが、適切な財政・金融政策を通じたマクロ経済環境の強化から始まる」と指摘した。米利下げ観測が大幅なチャット安をある程度是正したが、チャットは乱高下しており、米ドルの動きと必ずしも連動していないという。 軍事政権は統制強化などで通貨安と物価高に対処しようとしてきた。為替では、中央銀行が定める公定レート、国内企業間のオンライン取引レートなど多重相場が発生。実勢レートのチャット安と共に、各産業の事業活動の弊害となっている。