子どもの「体験」、どうやって「学び」につなげる? 「楽しかった」で終わりにしない5つのコツとは
「ただ『楽しかった』で終わりではなく、いかに過程を楽しんで心が動かされる実感を増やせるかが経験値アップのカギとなります。親がかかわることでいろいろな実体験を増やしてみてほしいと思います」 ■学びと体験をつなげて「経験値を上げる」サポート 5つのコツ 次にご紹介するのは岡部先生から聞いた「経験値を上げるためにできる」親の具体的なサポートです。子どもに失敗を恐れさせないように働きかけながら、ぜひ取り入れてみてください。 (1)親や友だちと一緒に体験する 「親と一緒に料理をする」「友だちと鬼ごっこをする」など、人との関わりあいのなかだからこそ、子どもはうまくいかないことが起きた時にどう対応すべきかを真剣に考えます。 (2)ピンチの時は声かけの工夫でモチベ変換 1回の体験でうまくいかないからといって、そこで終わらせれば本当に「失敗」。子どもに「どうしてうまくいかなかったと思う?」と声をかけて、考えようという気になってもらうことで次につながります。 (3)写真や動画、メモなどに記録する 体験したことを写真や動画、メモなどに記録しておくと、思い出しやすいので「振り返り」もしやすくなります。アルバムにするなど、いつでも見られるようにしておくのはおすすめです。 (4)心に残っていることを振り返る 遠足や音楽会など何でもいいので、いつもと違う体験をしたら、「何が一番印象に残った?」と問いかけ、思い出させることが「振り返り」になります。しゃべってもらっても、日記に書いてもらってもいいですね。 (5)別の機会に活用していく 「学んで得た知識を実際に活動のなかで体験し、その体験からまた学びを得る。そして次の体験のなかで活用する」ように学びと体験を行ったり来たりすることが経験値を上げます。 ■岡部先生からのアドバイス 今はさまざまな体験が「動画でできる」時代。二次元の動画は本物のように見えるけれど、味やにおい、手触り、温度などはわかりません。体験で大事なのは「本物に出合う」ということ。本物に出合ったときに人は「心が動く」からです。 (取材・文/船木麻里) 〇岡部寛之先生/早稲田実業学校初等部教諭。小学校教諭として担任を務め、算数教育を専門とする傍ら、長年アウトドアクラブの顧問を担当。生徒と一緒に火をおこしたりテントを張ったりするなど、学びと体験が深まるよう指導している。
船木麻里