温泉水使って高級魚「マツカワ」養殖 旧新八温泉(青森・八戸市)で実証実験
青森県などで医療や福祉、教育事業を展開する「SGグループ」(八戸市)と弘前大学地域戦略研究所は温泉水を活用し、希少で高級なカレイ「マツカワ」の陸上養殖実証試験に取り組んでいる。当初5グラムほどだった稚魚は約10カ月間で出荷に適するとされる800グラム以上に成育。将来的な事業化へ向け、来年は省力化や低コスト化に取り組む予定だ。19日、東奥日報などに実証試験の現場を公開した。 同グループは2020年11月に同市長苗代の温浴宿泊施設・旧「はちのへゆーゆらんど新八温泉」の土地と建物を取得。弘前大学と養殖研究に関する連携協定を交わし、21年6月にトラフグ養殖の実証試験をスタートした。 マツカワ養殖は、県栽培漁業振興協会(階上町)から稚魚3千匹余の提供を受けて昨年7月に開始。養殖方法は、温泉水を浄化しながら再利用することで排水を出さない「閉鎖循環式」を採用した。 技術アドバイザーの福田慎作さん(68)は「水温をマツカワが好む20度前後に保つことや、水槽内の衛生状態を維持するのに苦労した」と話した。適切な成長を促すため、佐井村漁協や小泊漁協に魚体を提供して数を減らし、現在は300匹ほどを養殖している。 15日には三八地域の漁業、行政関係者を招き、マツカワ養殖1年目の実験結果を八戸市内で報告。刺し身やマリネ、カルパッチョなどを試食した出席者からは「『肉厚で歯応えがある』とおおむね好評だった」と福田さん。「今後は自動給餌器を導入して省力化に取り組むなど、より効率的な養殖方法を追求したい」と語った。