「浮気が発覚するたびに、心がチクチク痛んだ」安藤和津「何度も離婚を考えた」が決断に至らなかった「大きな理由」
── なぜでしょう? 安藤さん:だって過去の記憶の蓋がバカンと開いて昔のことを鮮明に思い出したら、奥田への怒りが爆発して、包丁を取り出すような事態になってしまうかもしれないから(笑)。 いまの私は「もう昔のことはどうでもいい」と思えているけど、もしかしたら無意識の底のほうでは負の感情に蓋をして、封じ込めているのかもしれない。でも認知機能が弱ってふとした瞬間に過去の記憶が蘇ったら、長年封じ込めていた感情が腐りきったマグマのように爆発して出てきてしまう可能性だってあるでしょう?そうなったら多分もう手がつけられないだろうから、認知症になったら夫とは別々に暮らしたほうがいいんじゃないかしら。
── 桃子さん、サクラさんを育てているなかで、娘たちに父親の愚痴をこぼすようなことはなかったのでしょうか。 安藤さん:娘たちに夫のことをまったく愚痴らなかったわけではありませんが、愚痴りたいときは半分笑いを交えながら深刻にならないようにしたつもりです。だって、母親が子ども相手に深刻に悩みを吐き出してまったら、子どもたちがあまりに可哀想じゃない? 以前にテレビのバラエティー番組に私が出演したとき、そういった過去のことをお話ししたんですよ。それを見た娘たちが「お母さん、そんなにつらい思いをしていたの!?」って驚いていました。
■それでも離婚をしなかったのはぜか ── 離婚という選択肢が脳裏をよぎることもやはりありましたか。 安藤さん:もう何十回もありましたよ。脳裏をよぎるどころか、「離婚」という文字がテロップのように頭のまわりを日々ぐるぐると流れていましたもの(笑)。映画の資金を横領されたりして、億単位の借金を抱えたこともありましたし。 それでも離婚の決断をしなかったのは、私が幼少期から抱き続けた理想の家族の風景があったからなのだと思います。家族がみんなで食卓を囲んで笑っている。子どもたちがキャッキャと笑いながら、「ごはん、おいしいね」と言ってくれる。そんな平和な光景に私はずっと憧れ続けてきたんです。