日本のバブル崩壊時よりも酷い中国経済 「中国の今後のシナリオ」を考える必要がある
「これから中国はどうなるのだろうか」というシナリオを考える必要がある
奥山)「これから中国はどうなってしまうのか?」というシナリオを、我々は考えなければいけないと思います。なぜこれほど中国にお金がないかと言うと、1つには不動産の問題があります。いままで彼らは家計資産の約8割を不動産に突っ込んでいました。その不動産が飛んでしまい、なおかつ購入したマンションの建設も止まっている。資産の約8割の価値がなくなったような状態です。それに加えて、給料が半分になるという状況が大多数の人に出ています。
ダボス会議で中国への投資を訴えた李強首相
奥山)先日、スイスでダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)が行われましたが、そこで中国のナンバー2と言われる李強首相が「中国に投資してください」と演説したのです。ダボスには中国側の経済官僚などがたくさん来ていたそうです。自分たちの国が、バブル崩壊時の日本以上に悪い状況だとわかっているからこそ、外交において「積極的に投資してくれ」と言いに来たのではないかと言われています。 新行)営業しに行ったということですか? 奥山)そうかも知れません。ところがダボスでは、政治的リスクが大きいので冷たくあしらわれたようです。そう考えると、日本にもこれからデフレ圧力のようなものが掛かってくるかも知れません。外に対して意外に大人しく出るのか、それとも積極的に出るのかはわかりませんが、今後いろいろな動きが中国から出てくることは、ある程度想定しておく必要があります。
中国からの訪日客も減少
新行)そのような状態で春節を迎えようとしています。いつもだと大移動というような見出しが出ますが、今回はどうなるのでしょうか? 奥山)外に対しては、「まだ中国経済はいいですよ」とアピールする部分はあると思います。ただ、先ほどの研究員の話を聞くと、そんなにお金を使えるような状況ではない。中国からの訪日客も相当減っていると聞きます。そのような意味では、中国がこれから消費に対して慎重になる状況は避けられないと思います。