【韓国ドラマ】古典の名作小説を見ごたえある“復讐劇”に
日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、韓国ドラマの魅力をさまざまな切り口でご紹介!今回は、実は有名な原作をモチーフにして大ヒットになったドラマをセレクト。原作の構図やテーマをうまく韓国風に置き換えて、素晴らしい作品に仕上げていくクリエイティブ能力のすごさに、感心すること間違いなし! 【今月の韓国ドラマ】海外の名作をアレンジした大ヒットドラマ3選【画像】
古典の名作小説を見ごたえある“復讐劇”に 『復活』
これは古典の名作小説『モンテ・クリスト伯』をモチーフにしています。友の裏切りによる冤罪で15年も離れ島の監獄で過ごさねばならず、そこで出会った博学な神父から様々なことを学んで島を脱出し、宝を手にして伯爵として身分を変え、かつて自分にひどいことをした者たちに復讐していくというのが原作。それを、ひとひねり、ふたひねりもして、見ごたえのある復讐劇に変貌させました。韓国では長らく“サスペンス”ジャンルは当たらないとされてきましたが、そんな概念を覆し、“復活パニック”と呼ばれる熱狂的ファンを生み出したほど。
幼いころの記憶をなくし、孤児として育ての親の元で成長して刑事となった主人公が、生き別れた双子の弟と再会しようというその時に、弟は自分と間違われて殺されてしまいます。怒りに燃える主人公は、父と弟を奪った者たちへの復讐のために、死んだ弟に成りすまし、身分を欺いて生きる決意をして犯人たちを追い詰めていきます。それゆえに、愛する女性がいるのですが、彼女を目の前にしながらも心を鬼にして別人を装わなくてはならない。一方の彼女の方も、愛する人が死んでしまったと思い込んでいるので、その悲しみを抱きながらもそっくりな男性の存在に戸惑い心を揺らしていくのです。この2人の間に流れる緊張感と哀切感がたまりません。 緻密に練られた脚本、演出効果、演技力、音楽、もう四位一体のすばらしさです。いろいろな小物やしぐさ、色合いなどにメッセージが込められているので、気軽には見られません。その代わり「見たな」という充実感が味わえるでしょう。このドラマの成功によって、この監督と脚本家コンビによる、『復活』に続く『魔王』『サメ』という復讐3部作が世に出ました。 ■Amazon Prime Videoチャンネル「韓国ドラマ&エンタメChannel K」にて配信中 TEXT BY CHIKAYO TASHIRO 田代親世 韓流ナビゲーター 韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。