首相の岸田派解散表明から3カ月、自民は派閥政治と決別できるか 寄る辺を失った議員、党幹部におもねる動きも
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた岸田文雄首相の岸田派解散表明から3カ月がたった。他4派閥も追随し「カネや人事」と密接な派閥の活動は表向きは停止した。寄る辺を失った議員は、派閥に代わる政策研究の新たな場をつくるなど模索を続ける一方、派閥領袖(りょうしゅう)不在により影響力を増した党幹部におもねる動きも一部ではある。党運営の基盤だった派閥政治と決別できるのか。 【関連】首相、岸田派を離脱表明 資金還流問題を受け 首相が1月18日に岸田派の解散を宣言し、安倍、二階、森山3派も続いた。茂木派も今月、総務相に提出している政治団体の届けを取り下げる方針を表明。残るは麻生派のみで、全体の8割超が無派閥となる。 派閥解散を受け週1回の各派の定例会がなくなった。岸田派の若手・中堅らは通信アプリLINE(ライン)のグループを設け国会運営などの情報を共有。他にも政策研究を含め個別で会合を重ねる議員もいる。 一方で、各派は政治団体の取り下げや事務所閉鎖の手続きは完了しておらず、そのままだ。安倍、二階両派幹部の裏金処分の軽重を巡っては水面下で綱引きがあり、各派に配慮した処分内容だとの指摘があった。 派閥単位で候補者を担ぐのが慣例で、秋に実施予定の党総裁選についても「旧派閥を母体に議員が集まるだろう」(閣僚経験者)との見立てがある。岸田派関係者は「国政選挙は同じ派閥にいた議員や秘書の支援が頼りになる」と語った。 自民はガバナンス・コード(統治原則)で資金と人事に関与する「旧来の派閥」の存続禁止を決めた。代わりに党本部が一括して能力評価する人事制度を構想中。茂木敏充幹事長は安倍派などの若手らと会合を重ねており「今後は党幹部の権限が絶大になる」との見方が広がる。出席した議員の秘書は「派閥がない以上、幹部に直接働きかけないと人事で浮かばれなくなる」と漏らす。 (大坪拓也)
西日本新聞