青井アナ、藤井アナに続くのは誰? 夕方ニュース枠は“慶應OB”同窓会……フリー転身が続く男性アナ界でも抜きんでる「三田会」の強さとは
フリー転身が報じられたNHK青井実アナと日本テレビ藤井貴彦アナ。一見正反対の印象に見えて、根っこの部分は近い気がする。どちらも世間の風を読み、自分の見せ方がうまいところだ。 【写真を見る】みんな表情が爽やかで育ちが良さそう キー局の顔は内部進学の「慶應ボーイ」だらけ
青井さんは「お堅いNHKっぽくないチャラさ」を、藤井さんは「民放らしからぬ堅実さ」をキャラの中心に置いてきた。アナウンサーというとまずは原稿読みやナレーションのうまさを論じる向きもあるが、結局のところキャラ勝負であることは、代々の女子アナが証明してきている。フリー転身を頭に入れて活動してきた戦略的なアナウンサーほど、自分のキャラを立てることに自覚的であったことだろう。そのかいあってか、時期を同じくしてフリー宣言した両者とも、帯番組のMC就任に内定が出ているという。 思えば藤井アナも青井アナも慶應大学卒。青井アナの内定先といわれるフジテレビ「Live News イット!」にもまた、慶應卒の榎並大二郎アナがいる。 その裏番組のTBS「Nスタ」の進行役は、母校の甲子園優勝での号泣コメントが物議を醸した井上貴博アナ。さらにテレビ朝日「スーパーJチャンネル」は2017年入社の井澤健太朗アナを大抜てきした。日テレ「news every.」のキャスターを務める藤井アナも含め、テレビ東京を除く民放キー局の夕方の顔が、全員内部進学の慶應大学OBという状態である。多様性だなんだと真面目な顔で語るニュースの場が、特定の属性で均一化されているというのは興味深い。 なぜ、こうも慶應卒男性アナは強いのか。夕方ニュースの主なターゲットである、主婦層にウケのいい爽やかさ、育ちのよさそうな雰囲気は大きい。かといって、お高くとまった進行をするわけではない。むしろ素直な感情表現をためらわない、幼さと紙一重の「かわいがられ力」が突出しているからではないだろうか。
「強者」が一番嫌われる時代をよく分かっている慶應ボーイたち 「話す力」より「見せる力」を意識したキャラ戦略
このご時世、最も嫌われるのは「強者」である。財力や権力を握り、影響力の大きい人はにらまれやすい。アナウンサーはいち社員とはいえ、やはり一般の会社員というには無理のある年収や影響力を持つ人といって差し支えない。そこにルックスと学歴の加わる慶應ボーイとくれば、格好のターゲットだろう。だからだろうか、彼らはよく泣くのである。特にスポーツ関連では涙をこらえきれないようだ。TBS井上アナに限らず、TBS石井大裕アナウンサーは2016年のドラフト特番の生放送中に、日本テレビの安村直樹アナウンサーはラグビーW杯の日本の勝利に号泣。また、東日本大震災の被災者の声に涙した藤井アナ、コロナ感染した妊婦が入院できず赤ちゃんが死亡した事件で涙まじりにニュースを伝えた榎並アナも話題となった。 番組の顔を務めるフリーの男性アナといえば、「報道ステーション」初代キャスターの古舘伊知郎さんしかり、「情報プレゼンター とくダネ!」の小倉智昭さんしかり、「情報ライブ ミヤネ屋」の宮根誠司さんしかり、辛口と言われることを辞さずに強気に仕切っていくタイプが中心だった。 しかし今や、そうした「俺様」的な物言いは「老害」と一蹴されてしまう。ましてただでさえ「強者」と見られがちな慶應ボーイたちにとっては、鼻水まじりの泣き顔をさらすくらいでようやくプラマイゼロになると分かっているのではないだろうか。 それは「話す力」より「見せる力」にシフトしたキャラ戦略である。理路整然と進行するエリートより、時に涙し、つっかえるような純情なアナウンサーの方がかわいらしい。視聴者にとっても、共演者にとっても、上司にとっても、そうした「ツッコみやすい」キャラクターとして認識される方が得であることを、慶應アナたちはよく分かっているのだろう。 まれに6股交際やら“竹林不倫”やら、超ド級の下半身スキャンダルをやらかすのも慶應卒アナに多いが、その脇の甘さも元をたどれば育ちの良さゆえのおおらかさというか、「かわいげ」につながっているのかもしれないと思ってしまう。