壁にテープで貼ったバナナが再び売却、今度は9.7億円
(CNN) 壁に粘着テープで貼り付けられたバナナが2019年に12万ドル(現在のレートで約1860万円)で売れたとき、SNSは騒然となり、芸術の意味を問う昔からの議論が巻き起こった。 【画像】23年に食べられてしまったバナナ しかし、アーティストのマウリツィオ・カテラン氏による「コメディアン」と題されたこの話題の作品は、ある収集家にとって堅実な投資であることが証明された。米ニューヨークで20日に行われた競売会社サザビーズのオークションで、この作品の三つの「エディション」のうちの一つが予想を大きく上回る624万ドル(約9億6700万円)で売却されたのだ。 サザビーズはこの作品の落札額を100万ドルから150万ドルと見積もり、80万ドルから入札を開始した。 オークションの間、競売人のオリバー・バーカー氏はこの作品を「象徴的」かつ「破壊的」と評し、オークションでバナナを売るなどという「言葉を自分が言うとは思わなかった」と冗談を飛ばした。 サザビーズは落札後、中国の収集家で暗号通貨プラットフォームの創設者ジャスティン・サン氏がこの作品を手に入れたと明らかにした。 サン氏はプレスリリースで「これは単なる芸術作品ではない」と述べた。「芸術、ミーム、暗号通貨コミュニティーの世界を橋渡しする文化的現象を表している。この作品は将来、より多くの思考と議論を呼び起こし、歴史の一部になると信じている」 サン氏には粘着テープ1巻とバナナ1本のほか、鑑定書と作品の設置に関する公式説明書が渡される。オークションに先立ち、サザビーズはCNNに対し、テープとバナナはオリジナルではないことを確認した。 オークションの広報担当者は電子メールで「『コメディアン』は概念的な芸術作品であり、実際の物理的な素材は展示ごとに交換される」と述べた。 「コメディアン」がオークションに出品されるのは今回が初めて。この作品は昨年、韓国ソウルにあるリウム美術館に展示され、食べられるという出来事があった。ソウル国立大学で美術を学ぶ学生がバナナを壁からはがし、平らげ、皮を壁に戻してテープで貼り付けたのだ。 美術館の広報担当者は当時、CNNに、学生は空腹だったため食べたと話したと語った。美術館はその後、食べられたバナナを新しいものに交換した。 サン氏は20日に行われたオークションのプレスリリースで、自分もこの果物を食べるつもりだと述べた。「さらに今後数日間で私はこのユニークな芸術体験の一環としてこのバナナを個人的に食べ、芸術史と大衆文化の両方におけるバナナの地位をたたえるつもりだ」 ◇ 原文タイトル:Viral banana artwork has sold again ― this time for $6.24 million(抄訳)