高校野球も「二段モーション」解禁!「間違いなくプラス」と元プロ投手も断言する理由とは?昨年はソフトバンク1位前田悠伍が国際大会で解禁、世界一に貢献
日本高校野球連盟は9日、2024年シーズンの高校野球特別規則を発表した。今回の改正の大きなポイントは「投手の投球姿勢」と「反則投球の取り扱い」についてだ。 【動画】快挙達成のU-18代表 前田悠伍の神ピッチ! 簡単に言うと、「二段モーションが解禁」になったのである。その理由について日本高野連はこのように答えている。 「相応の期間が経過したことに加え、昨今のテクノロジーの進化で、大学・社会人・プロをはじめとした他の上位カテゴリーの投手の投球フォームを参考にする投手が増えています。高校野球においても、投手の投球姿勢を公認野球規則通りとしました」 これまでは「高校野球は裾野が広く、また、主大会がトーナメント方式であり、打者が初めて対戦する投手が多いとの理由から、投球姿勢に制限を設けた」というのが禁止の理由だった。 だが、二段モーションは、打者のタイミングを狂わせるものではなく、あくまでレベルアップの1つとして取り入れているという現場の流れを汲み取ったのだろう。 二段モーションを取り入れたことで目覚ましい投球をした投手の例を挙げれば、ソフトバンク1位指名を受けた前田 悠伍投手(大阪桐蔭)だ。 3年夏の大会が終わった後、高校日本代表に選ばれた前田は二段モーションを採用した。代表が参加するU-18ワールドカップなど国際大会では、二段モーション禁止のルールがなかったためだ。この新しい二段モーションを取り入れた前田は、大活躍。16.1回を投げて、わずか自責点1の快投で世界一に貢献したのだった。 この規則改正に「投手にとってプラス」と語るのが元阪神の福永 春吾氏だ。 福永氏は徳島インディゴソックスから2016年のドラフトで阪神から6位指名を受けた。昨年現役引退し、現在は台湾の台鋼ホークスで二軍投手コーチ補佐を務めている。 150キロ以上のストレートを投げるために、フォームの細部まで突き詰めてきた福永氏。この規則改正でメリットが大きい投手のタイプも挙げてくれた。 「軸足にしっかりと溜める感覚を活かして投げる投手は、二段モーションを取り入れることで、今まで以上に力を溜めて体重移動ができます。より強いボールを投げることができるのではないかと思います。 投球フォームの間合い、タイミング、踏み出す足、軸足の使い方、リリースなど意識する部分は人それぞれです。僕はどちらかというと、溜めを作るのは苦手なほうで、二段モーションはやりませんでした。踏み出す左足の操作の仕方を大事にしていました。 このように、投手によって体の使い方が違っていて、ハマる感覚も違います。 そのため規制がなくなったことはプラスです。僕も、今の高校生投手たちも、プロ野球の投手をモノマネをしながら、成長しました。プロの二段モーションで投げるピッチャーを参考にすることで、今まで以上に良い感覚で投げられる高校生が出てくるのではないでしょうか。高校野球のレベルも上がっていくのではないでしょうか」 現代の野球事情に沿った形で規則が改正されたことは、大きく評価できる。今回の規則改正で劇的に成長する投手が現れることを期待したい。