携帯契約に「原則マイナンバーカード必須」に批判殺到 デジタル庁は「一本化は考えていない。政府の伝え方が悪い」と困惑
6月18日、政府は携帯電話を「対面」で契約する際、事業者に対してマイナンバーカードなどに搭載されているICチップの読み取りを本人確認の方法として、義務付けることを決定した。さらに「非対面」での契約の際には、運転免許証の画像を送信する方法は廃止し、原則としてマイナンバーカードに一本化する方針を示した。これが波紋を広げている。SNS上では、「マイナンバーカードは任意のはずなのに」「これではほとんど強制では」との批判が相次いだ。識者は「運転免許証のICチップでも代替可能」と見解を示すが、「原則」とはいえ、なぜマイナンバーカードに一本化する必要があるのか。デジタル庁に真意を聞いた。 【写真】カード普及に躍起になっている大臣はこちら * * * 18日に首相官邸で開かれた犯罪対策閣僚会議では、政府は国民を投資詐欺などから守るための総合対策として、「非対面」で携帯電話を契約する際には、本人確認の方法を「マイナンバーカードの公的個人認証に原則一本化」することが明らかにされた。「原則」という文言が入ってはいるものの、同会議が公表した資料を読む限り、本人確認はマイナンバーカードでしかできないように読める。 それを受けて、メディア各社は携帯契約の際は「マイナンバーが必要になる」というトーンで報道。するとSNS上では、「マイナンバーって(作成が)自由ではなかったの?」「なかば強制的にマイナンバーカードを持たされるということだよね?」など政府への不審と批判が相次いだ。
■「詐欺防止」という点では有効 まるで、普及が進まないマイナンバーカードを政府が“ゴリ押し”するために、携帯電話契約にかこつけた施策のようにも思えるが、詐欺防止という観点では「妥当性」もある。 警察庁によると、SNSを悪用した詐欺被害は、今年の1~4月で2508件発生しており、被害総額は約334億円に上る。その詐欺行為のほとんどが不正に入手した携帯電話から行われており、1日に約3億円が被害に遭っている計算になる。政府としては、この不正入手経路を断つためにも、マイナンバーカードによるIC確認が不可欠だ、としているわけだ。 「偽造したマイナンバーを使って他人になりすまし、勝手に機種変更をしてスマホを乗っ取り、ネットバンクから不正送金が行われたりするSIMスワップ詐欺などが多発していることは事実です。マイナンバーカードを使った身分確認は目視で行われることが多いため、犯罪に利用されてしまうことが少なくありませんでした。今回は、携帯事業者にマイナンバーカードのICチップ読み取りを義務付けることで、偽造マイナンバーカードによる被害を食い止める狙いがあることは確かでしょう」(全国紙記者) 実際、自宅でマイナンバーカードを偽造したとして、昨年12月には大阪に住む中国籍の女が逮捕、今年5月にも別の中国籍の男性らが同じ容疑で逮捕されている。