中国輸出製品、税制優遇縮小で値上げや契約見直しの動き
Amy Lv [北京 18日 ロイター] - 中国ではアルミ製品から廃食用油(UCO)、太陽光パネルまでさまざまな分野の輸出企業が値上げや契約の再交渉に動き、政府による税制優遇措置の縮小によるコスト上昇を転嫁しようとしている。複数のトレーダーやアナリストらが明らかにした。 中国政府は15日、一部の石油精製品や太陽光発電製品、電池などに適用する輸出税の還付率を12月1日に13%から9%へ引き下げ、アルミ・銅製品と遺伝子組み換え動植物、UCOなどは還付自体を取りやめると発表した。 こうした中で、金属輸出企業は12月を控えた駆け込みで出荷する一方、UCOの輸出業者は逆に出荷を遅らせて契約の再交渉をする可能性があるとの見方が出ている。 あるUCO輸出企業の会長はロイターに対して「政策変更のため12月積み込み予定のUCOは輸出が延期されるかキャンセルされ、契約の再交渉を求めることになる」と語った。 中国政府の発表で輸出減少が懸念されたことから、今月15日のロンドン金属取引所のアルミ価格や、米国の大豆油価格が上昇した。 中国・上海のコンサルティング会社SMMのアナリストチームは16日付のノートに「アルミ製品の税還付打ち切りは輸出企業のコストを押し上げ、輸出意欲を抑制する」と記した。 中国のアルミ生産量は世界最大で、輸送機器からパッケージまで幅広い用途を持つアルミ半加工製品の主要輸出国だ。SMMによると、今年1―9月のアルミ製品輸出量462万トンの全てが還付打ち切り対象になる。 ただ、シンガポールのアルミトレーダーは、海外市場は供給ギャップを埋めるために価格が上がっても引き続き中国製品を必要とするだろうとの見解を示した。 米シティグループのアナリストチームの分析では、中国の銅製品輸出はアルミよりほど規模が大きくないため、税還付打ち切りの影響も小さくなる。 石油精製品への還付打ち切りの背景には、国内の過剰な精製能力や不安定な需要動向がある。シティのアナリスト、オスカー・イー氏は中国石油化工集団(シノペック)と中国石油天然気(ペトロチャイナ)の減収を通じて燃料輸出を抑え、アジア全域で精製マージンを下支えるはずだとみている。 同じく国内の過剰生産能力に苦しんでいる太陽光パネルへの還付率引き下げに関しては、シティのアナリスト、ピエール・ロー氏は海外の買い手にとってワット当たり0.02―0.03元の値上がりになる可能性があると試算した。 ただ、ロー氏は値上がり分を海外のエンドユーザーに転嫁する中で、中国の太陽光パネルは競争力を維持すると予想している。