「左手に気をつけろ」は「河内山宗俊」を意識、監督・井口奈己が制作秘話を語る
全国で順次公開中の映画「左手に気をつけろ」より、監督を務めた井口奈己のインタビューが到着した。 【動画】井口奈己の監督作「左手に気をつけろ」の予告編はこちら 本作の舞台は、左利きを媒介するウイルスが蔓延し、こども警察による厳しい取り締まりが行われている世界。行方不明になった姉を探す主人公・神戸りんは“運命の人”と出会い、世界を変えようと奔走する。キャストには名古屋愛、北口美愛、松本桂が名を連ねた。なお井口の根源的作品とされる短編「だれかが歌ってる」も併映されている。 両作に登場した子供たちに関して、井口は「子供たちは本当に自由なので、『何が起きるかわからない』という状況が常にあります」「カメラが向いていない瞬間が本当に面白いんです」と話す。「左手に気をつけろ」では、映画を学んでいる学生たちにiPhoneなどで撮影裏の子供たちの様子を撮ってもらったと明かし、「本編でも一部使っていますが、まんべんなく素材を観て記憶して反映していく編集作業には苦労しました」と振り返った。 「左手に気をつけろ」の劇中ではさまざまな映画がオマージュされており、井口は意識した作品として、エミール・コールが手がけた「カボチャ競争」や、ジョン・カーペンターの監督作「光る眼」、ナルシソ・イバニェス・セラドールによる「ザ・チャイルド」などを挙げた。続けて「ジャン=リュック・ゴダールというよりも、山中貞雄の『河内山宗俊』をやりたかったんです。誰かをおとしめようと考えていたけど、やはり自分が身代わりになる……みたいな」と語っている。 最後に井口は「映画館で皆さんにご覧いただけるということが本当にうれしいです。公開に向けて色も音も調整し直しました。気軽に足を運んでいただけたら幸いです」とメッセージを送った。 (c)⽂化振興ネットワーク、CULTURAL DEVELOPMENT NETWORK