砲撃できるのはわずか数分間、ウクライナ軍を悩ますロシアのドローン
ウクライナ陸軍の第43独立砲兵旅団は、ドイツ製の強力なPzH2000自走榴弾砲を保有している。しかし上空からのロシアの監視から逃れるため、隠し場所から出して砲撃できるのは、わずか数分間だけだ。最前線では砲弾だけでなく、電子戦システムも不足しているため、今やロシアの定番兵器となったドローンの妨害にますます直面しているという。 森の中の隠し場所からゴロゴロと出てきたのは、巨大なドイツ製の自走砲だ。ウクライナの砲兵部隊は、このPzH2000自走榴弾砲のような高価な兵器を狙うロシアのドローンを避けようと、相手の目を欺くための工夫を凝らしている。 取材班は今月4日、第43独立砲兵旅団を訪れた。同旅団は、今やロシアの定番兵器となったドローンの妨害にますます直面しているという。 この部隊はロシアのハイテク攻撃型ドローンの攻撃を4度も受けたと、砲兵隊長は話す。「ロシア軍は『Privet-82』のような攻撃型ドローンをより頻繁に使うようになった。また『ランセット』型ドローンも、複数の異なる仕様にアップグレードしている。それらは累積効果を持つ高性能爆薬弾頭を搭載している。以前にも攻撃はあったが、今ほど頻繁ではなかった」 このドイツ製自走砲のように西側から供給された大砲は、ロシアにとって優先すべきターゲットだ。実際ロシアはこれらの兵器への攻撃を集中させると公言している。 ウクライナ軍の上級砲兵士官はこう話す。 第43独立砲兵旅団 スタヴニチイ士官 「ロシア軍は多くの電子戦装備を持っているため、状況はより困難になっている。彼らは我々の”鳥“が領空を飛ぶことを許さないため、目標を探知して攻撃することが難しくなっている。もうひとつの理由は、彼らのカミカゼ攻撃ドローンだ。彼らは『ザラ』や『オルラン』といったドローンを豊富に持っている。1日中、常に何かが上空を飛んでいて身動きが取れないということもある。こういう”鳥“を撃墜できれば、われわれはより多くの仕事ができるようになる」 ウクライナ軍の他の砲兵部隊同様、第43旅団も砲弾不足に直面しており、1日に撃つ砲弾の量を大幅に減らしている。ウクライナ軍は、長らく滞っていた610億ドル規模の米国からの軍事支援パッケージの到着を心待ちにしている。 車両の修理も課題だ。スペアパーツの入手は限定的で、頻繁に誤作動を起こすナビゲーションシステムを戦場で修理するのは難しい。 スタヴニチイ士官はロシアのドローンを妨害するための電子戦システムを増やすよう求めている。「ここでの主な問題はスペア部品と砲弾だ。しかし、部品や砲弾があったとしても、敵の“鳥”の問題がある。だから電子戦や偵察活動、砲兵部隊など、すべてがシステムで連携する必要がある。そうすれば命中率はもっと高くなる」