箱根駅伝Stories/「前回超え」の手応えつかむ名門・早大 石塚陽士、伊藤大志、山口智規ら軸に「1=1」の駅伝を!
出雲、全日本は悔しい結果に
さっそく成果を上げたのが山口だ。11月19日の上尾シティハーフマラソンでは、1時間1分16秒と好走。大迫が2010年の同大会で打ち立てた早大記録(1時間1分47秒)を13年ぶりに30秒以上更新した。 「ハーフの練習をせずに、10000m 27分台を楽に出せるくらいの練習をしてきました。ペースに対して余裕度を持ってハーフを走っているので、まだまだ伸びしろはある」 こう話すように、狙いにいった記録ではなかった。だからこそ、思わぬ好タイムに山口はいっそう自信を深めていた。 一方、チームのほうは、昨年度よりも少し目線を高くし、今季は年度始めに「三大駅伝3位以内、悪くても5位以内」という目標を立てた。 しかし、出雲駅伝は6位、全日本大学駅伝は10位とまさかのシード権を落とす結果に終わった。 出雲も全日本もベストオーダーを組めなかったのにもかかわらず、「その高い目標にこだわってしまった」(花田監督)ことが裏目に出た結果だった。 昨年度から『1=1』をテーマに「普段からやっていることを、本番でしっかりと出す」ことを徹底しそれを実現してきたが、今シーズンに関してはそれができていない。 「チームの力の7割、ひょっとしたら6割も出せなかった」と振り返るように、ベストオーダーで臨めなかったことも含めて、反省材料があらわになった。 全日本の後は、チームで全体ミーティングを行い、いろいろな話し合いがなされたという。例えば、なかなか出番のなかった4年生からは「自分たちがしっかりやらなきゃ」という意見も出た。見方を変えれば、全日本の悔しい結果は厄落としになったとも言えるかもしれない。 そこから再度強化は進み、12月中旬の記者会見で花田監督は「今は、今年1年の中では非常に状況が良い」と手応えを口にしていた。選手たちは「5位以上」という具体的な目標を掲げているが、花田監督は「箱根に関してはあまり明確な目標を考えておりません」という。ただ、「前回を上回れる」と確かな手応えはある。 前回は6区を終えた時点で3位につけた。ただ、これは他大学の失敗もあってのこと。「今回はそんなに甘くはない」と花田監督は冷静だ。 石塚、伊藤、山口の3本柱、さらには秋以降絶好の間瀬田ら主力を往路から並べ、流れに乗るのがセオリーだろう。6区には過去2回好走している北村光(4年)が調子を上げている。後半は、経験豊富な4年生や一般受験組が堅実な駅伝を見せるという展開になりそうだ。 「1=1」の駅伝がきっちりとできた時、花田監督が言うように、前回以上の結果が見えてくるだろう。
和田悟志/月刊陸上競技