記者会見で発表されたシンボルロゴとともに、笑顔を見せる（左から）実行委員会事務局長の入山功一さん、特別顧問の横山幸雄さん、隠岐さん、塩越隆雄実行委員長、矢部さん、髙橋さん＝6日午後、青森市の東奥日報新町ビルNew’sホール

　「良い音楽を聴くことで青森という土地に自信を持ってもらいたい」「子どもたちが安心して希望を持てるような音楽祭に」－－。一流音楽家と県民が参加する「青い海と森の音楽祭」（2025年6月30日～7月6日）の開催が発表された6日の記者会見。呼びかけ人の指揮者・沖澤のどかさん（青森市出身）とソプラノ歌手・隠岐彩夏さん（五所川原市出身）の2人は、故郷への強い思いや音楽祭開催の意義を熱く語った。音楽祭は26年以降も継続する予定で、沖澤さんは「私たちから何かを提供するだけでなく、皆さんと一緒に青森の音楽を耕していきたい」と力を込めた。 　音楽祭は、沖澤さんと隠岐さんの2人が「音楽の原点」という故郷への恩返しとして企画。構想約1年で開催発表までこぎ着けたといい、沖澤さんは「音楽家として大成してからではなく、必死にもがいている今の私たちにしかできないことがある。その思いがやっと形になり、うれしい」、隠岐さんは「アイデアがどんどんふくらんでいき、毎日わくわくする1年だった。こんなに急ピッチで態勢が整ったのは青森が文化を大切にしているという証しだと思う」と振り返った。 　2人は自然豊かで祭りが多い青森県の環境にも触れ、自然に囲まれた場所で音楽祭が開かれるヨーロッパと似ている－と指摘。沖澤さんは「芸術と自然は切っても切り離せないもの。演奏家にとって、人工物に囲まれたり、騒音の中で演奏するのはとても困難」、隠岐さんは「この土地の独自の文化と気質は、クラシック音楽と相性が良いと確信している」と述べた。 　記者会見には、音楽祭の芸術総監督補佐兼音楽主幹補佐を務める青森市出身のコントラバス奏者・髙橋洋太さん、特別顧問でバイオリニストの矢部達哉さんらほかの関係者も同席した。 　髙橋さんは「子どもの頃に聴いたバイオリンのリサイタルの音は、今でも記憶の中に残っている。音楽祭を通じ、津軽弁で言う『じゃわめぐ』体験を青森の各地に届けたい」と決意。矢部さんは沖澤さんと隠岐さんについて「逸材中の逸材」と最大級の賛辞を送り、「短い時間でここ（開催発表）までたどり着けたのは奇跡。全身全霊で頑張りたい」と意欲を示した。 　このほか、三沢市生まれで東京在住のアートディレクター森本千絵さんがデザインを担当し、リンゴの形をした音符を山と海と五線譜で描いた「林檎音符」のシンボルロゴもお披露目。隠岐さんら関係者がシンボルロゴのパネルを手に笑顔で記念撮影し、音楽祭の成功を誓った。